佰陸拾 ページ19
五条side
抱きしめて、
一緒に寝てしまいたい衝動を抑えて
Aの部屋を出て、考えを整理する。
Aは、傑が呪詛師になったことと
その傑を僕が殺したこと
それから、
自分が半分呪いであることを理由に
呪術師を辞めて、
僕から離れようとしてる。
そんな彼女を、無理やりにでも
高専に縛り付けておくことは簡単だ。
でも、できるだけAには
自分の意思で僕の傍にいることを
選んでほしい。
地位と権力を行使して
強行手段に出るのは
打つ手がなくなった、最悪の場合だけ。
そして、Aを傍に置いておくには
皇一族にかけられた、
宿儺の呪いを解く必要がある。
こればっかりは
言葉でどうこう説得するよりも
解いてしまったほうが
Aの逃げ道を塞ぐのにも有効かな。
そうなると一番の問題は、
呪いを解く方法。
受肉した宿儺を倒すには、
その宿主である悠仁に
残りの指を全部取り込ませて
殺さなくちゃならない。
でも、さすがにそんなことをすれば
Aがどんな目で僕を見るかくらいは
簡単に想像がつく。
Aが僕だけに向ける感情なら
それが嫌悪や憎悪でも愛しいけど
欲しいのはやっぱり
Aの愛だから
嫌われたら元も子もない。
それに、
Aの居場所を作るために手に入れた
誰もが認める『最強』の地位と権力を
信頼とともに失うのもごめんだ。
あぁー、どうしよっかなぁ。
ぐるぐると、堂々巡りになるだけで
一向に答えが出ない。
ふらふらと適当に歩いていると
いつの間にか共有スペースに来ていた。
そして、ソファに座るAと
そのAの頬に手を添える
恵を見つけた。
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作者名：るびー | 作成日時：2024年2月15日 9時
