佰伍拾参 ページ11
Aside
悟は、私の話を一通り聞いた後
五条「そっか。
まぁそんなことより病み上がりだし
ゆっくり休んでよ。」
なんて言って
私をベッドに横たわらせ
颯爽と部屋を出て行った。
大方、話の裏を取って
上層部にでも報告するんだろう。
でも楽巌寺学長は
私が記憶を取り戻す以前から
皇一族の呪いのことを知っていた。
悟が報告しなくても
既にすべてが暴かれている可能性は高い。
もちろん私には、虎杖くんを殺す気も
誰かに危害を加えるつもりも毛頭ない。
でも、これが本心だと
証明できる術がない上に
夏油傑をそそのかし
呪詛師にした実績をもつ極悪人。
……それに、そもそも私は
祓う側ではなく、祓われる側の人間だ。
事実は、私がここにいる理由を
否定するものばかり。
だから当然
呪術界は私の存在を認めない。
それは仕方がない、それでもいい。
心のどこかで、そう思う自分がいる。
…呪われた私は
呪い殺されるくらいが丁度いい。
そんなことを考え始めると
止まらなくて
とてもではないが休まらない。
悩んだ挙句、そっと部屋を出て
共有スペースへと向かった。
そこに誰かがいることを
期待した気持ちは
無人の空間を見て粉砕する。
自嘲気味に笑って
中央に置かれたソファに腰かける。
……みんなは今頃
何をしているのかな。
私のこと、覚えているかな。
ここに長居する気のない
私のことなんて
忘れられて当然だろうけど。
少し、寂しいと感じるくらいには
心が動いているようだった。
?「A………………?」
控えめに発せられた小さな声でも
静かな空間には、よく響く。
聞き覚えのある声の主は
私のことを覚えていてくれたらしい。
重力を無視した、癖のある黒髪。
いつもは眠たそうにしている目を見開いて
幽霊でも見たような顔をしている。
「………伏黒くん…。」
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作者名:るびー | 作成日時:2024年2月15日 9時