803時間目 ページ41
Aside
そして、次に目を開けた時には
殺意が込められたエネルギーは消えていた。
その代わりに、見慣れた黄色い身体が
痛々しく地面に倒れていた。
「殺せんせーっ………！」
急いで駆け寄ると
その身体の傷がより鮮明に映る。
超生物の怪我が生命に与える影響が
どのくらいなのかは分からないが
常人ならとっくに死んでいることは確かだ。
……私を、庇ったせいで。
あのとき、私が殺せんせーの元へ
駆け寄らなければ。
あのとき、私がもっと早く
死神に気づいていたら。
……そもそも、私が、もっと強かったら。
無駄だと分かっている後悔をして
一年間みんなと訓練を積んだ校庭の砂を
ぎゅっと握りしめた。
殺せんせー「…Aさん。
そんな顔をしないでください。」
殺せんせーは私の力の入った拳に
柔らかな触手をそっと重ねた。
高ぶった感情を、落ち着かせるために。
「……先生…
………っ！？」
謝罪とお礼の言葉を伝えようとした瞬間
私の身体は、目の前の殺せんせー諸共 宙に浮いた。
赤羽「A……っ」
二代目死神の触手により持ち上げられた私たちを
心配そうに見つめるみんなの顔が、遥か下方に見える。
触手が強く絡みついて、息が苦しい。
…それは、殺せんせーも同じはずなのに
私の身体を必死に守り
少しでも圧迫を和らげようとしてくれていた。
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作者名：るびー | 作成日時：2023年1月14日 16時
