767時間目 ページ5
Aside
殺せんせー「Aさんなら大丈夫。
きっとなれますよ、素敵な警察官に。」
そう言ってもらうことで
私は何でもできそうな強い気持ちになれる。
今はターゲットと暗殺者だが
この教室を卒業して、ただの恩師と生徒になったら
私は殺せんせーをも守れるような
そんな警察官になりたい。
これから先もずっと
恩師と生きていきたいから。
「…ありがとう、殺せんせー。
でも期限までは、容赦しないよ。」
殺せんせー「ヌルフフフ。
有名な殺し屋に狙われるなんて
光栄ですねぇ。」
そう言って笑ってくれることで
私の過去は暗いものではなくなる。
人生の足枷だった記憶が
人生の武器に変わる。
…本当にありがとう、殺せんせー。
二度目の感謝の言葉を声に出すことはなかったが
私は笑って殺せんせーに背を向けた。
「……っ？」
しかし、職員室のドアに手をかけたその瞬間
今までに感じたことのないほどの悪寒が
全身を駆け巡る。
なんだか、このままここを去ったら
もう二度と、戻ってこられないような…
もう二度と、殺せんせーに会えないような
そんな嫌な予感がして
思わず殺せんせーの方を振り返る。
殺せんせー「…にゅや？どうしましたか？」
でも、殺せんせーは確かにそこにいる。
丸い目をさらに丸くして
不思議そうに私を見ている。
「…………ううん、何でもない。
また明日ね、先生。」
殺せんせー「ええ、また明日。」
その言葉が嘘になることを
私はまだ知らなかった。
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作者名：るびー | 作成日時：2023年1月14日 16時
