赤羽業【アカガミのキンパツ女】18 (ページ35)

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Aside

……私は、甘かった。

お母さんを助ける、なんて。

ただ触手で滅多打ちにされている私に
どうしてそんな言葉を吐く資格があるだろう。

お母さんの触手の速度は、二代目死神よりも
殺せんせーよりもはるかに遅い。

対殺せんせー用のナイフと銃があれば
容易に倒すことができるだろう。

……でも、私にはそれができなかった。

「……っ…」

こうして、私に向かってくる触手を
ナイフで断ち切ろうとする度に

――――『 A 』

……お母さんの声と顔が重なって

触手を切り裂くことができずに
殴り飛ばされてしまうのだ。

……私には、上手く戦えない。

きっと柳沢はそれを分かったうえで
お母さんの改造レベルを下げたのだろう。

その息の根を止めないことで、私に復讐するために。

……悔しいが、その作戦は大成功だ。

現に私は、超新型体操着でも
吸収しきれないほどの衝撃を受け
この痛みがどこから来ているのかも分からなくなっていた。

「……っ…お母さん…

目を、覚ましてよ……！」

……その悲痛な叫びが、彼女に届くことはない。

そう分かっていても、声に出さずにはいられなかった。