赤羽業【アカガミのキンパツ女】18 (ページ31)

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カルマside

誰もがAの殺意で動けなくなっていた中
Aは柳沢を、数メートル先まで殴り飛ばした。

……殺すのではなく、ただ、殴り飛ばした。

母親の心を殺され

憧れの人を壊され

殺してしまいたいほど憎んでいるはずの彼を
Aは殺さなかった。

柳沢「……どうした、モルモット…。

俺を殺したいんだろ？」

Aに殴られ、口から流れる血を吐き出しながら
柳沢は不敵に笑い、挑発する。

でもAはそんな挑発に動じることなく
静かな瞳で柳沢を見つめた。

その目からは、殺意どころか
怒りや憎しみ、悲しみすら消えていた。

ただ、何かを強く決意したように
真っ直ぐに殴り飛ばした相手を見ていた。

A「…………殺したいよ。

でも…私は決めたから。

この力は、もう誰かを助けるためにしか使わないって…！」

その、儚くも強く、そして美しい言葉に
心を貫かれたような感覚がした。

本当に、彼女ほど綺麗な心の持ち主は
きっと世界のどこを探しても、存在しないだろう。

何があっても、どんなに苦しくても
一度決めたことを貫き通せる強さを
Aはもっている。

……俺はやっぱり、そんな彼女が好きだ。