786時間目 ページ24
カルマside
中村「…え、ちょっと待って。
A、どういうこと？」
実は、俺がAに指示した本当の役割は
中村とそのケーキを護衛することだった。
中村はケーキを崩さずに運ぶという
大役を背負っているため、当然戦うことはできない。
でも、敵はそんな事情など知らない。
お構いなしに攻撃してくるだろう。
その中で、俺は中村の周囲に敵を寄せ付けず
なるべく体の振動を抑えられるルートの確保を
Aに任せていた。
そしてこのことは、Aの希望により
中村本人には伏せられた。
護衛されていると知っている状態では
Aの動きが気になってしまうだろうから、と。
だからAは中村に一切気づかれることなく
周囲の敵をすべて排除し、安全な道を確保するという
人間業とは思えないことを、たった一人でやってのけた。
中村「…そう、だったんだ…。
どおりで敵がいないと思った。
…ありがとね、A。」
自分がずっと守られていたことを知った中村は
はにかみながらAに礼を言う。
A「ううん、私はただ見守ってただけ。
ケーキが崩れなかったのは、莉桜の技術のおかげだよ。」
………よく言うよ。
中村の周りを駆け抜けながら
とんでもない数の敵の意識を奪っていたくせに…。
双眼鏡や無線機、律の力を借りて
常にAの状況と安全を確認していた俺には
すべてお見通しだ。
Aが少しの物音も悲鳴も上げさせることなく
敵を倒し、中村とケーキを守り抜いたことは。
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作者名：るびー | 作成日時：2023年1月14日 16時
