mission 55 ページ5
.
こんな俺にだって、彼女はいた。
中学の始めの頃、告白されて、なんとなくOKして。
でも全然そういうことに興味も意欲もなかったから、結局「私のこと本当に好き？」って聞かれて１ヶ月くらいでそれは終わった。
クラスでも評判の可愛い子だったし、確かに俺だって始めはちゃんとしよう、って努めたんだけど。
いざ、手を繋ぐとか抱き合うとか、、キスとか。
そういうことになるとてんでダメで。
その時に自覚した。
俺は女を好きにならないんだ、って。
「やっぱり無理なんだよな、付き合うまではいいんだけど」
「ん〜。そういうことは俺もアドバイスのしようがないし」
性別とかじゃなくて、本当に好きな人が見つかってないだけなんじゃなくって？
大ちゃんはタコさんウインナーの足を唇から出して、変な顔になっている。
大真面目に話しているから、本人、全く気づいていない。
「それも俺は考えた。でもそれって、そんな人が見つからなかったら俺は一生涯孤独になるってことだろ？」
「いいじゃん、伊野ちゃんいるし」
「俺だっていつかは親離れするし！……伊野ちゃんだって恋人くらいいても良さそうだし」
「いたって光くんを一人にはしないでしょ」
伊野ちゃん可愛いし分からねぇだろ！
恋人いないって、絶対あり得ないし。
俺が負担になってるのかもしれねぇじゃんか！
「聞いてみればいいじゃん」
「プライベート、だし」
「んじゃ俺にする？」
「ブフッ！」
今、こいつなんて言った……？
「光くん汚い」
「そ、そりゃ驚くだろ！大ちゃんは対象外！」
「俺、光くんだったらいけると思うんだけど」
「バハッ！」
「毎回吹く音が違うのはなに！？」
嘘だからぁ、なんてへにゃへにゃ笑ってやがる。
本気にした俺が恥ずかしいじゃんか！
「あーあ、昼終わっちゃう」
「サボるかー」
「次世界史だけどね？」
薮ちゃんに目つけられてるんだから出なきゃ。
大ちゃんそれ、他の教科はいい、みたいな言い方になってるよ。
「大ちゃんってさ、将来やりたいこととかあんの」
「なーにいきなり」
「面談のとき、将来のこととかなんも考えてなかったからさ。勉強するの、ほぼ強制みたいな感じだったし」
大ちゃんは、なに目指してんのかなって。
俺はまだ、好きなこともやりたいこともないから、参考にしたい。
「俺はね、……教えない！」
「なんだよそれ！」
「当ててみろぉ」
大ちゃんはぺろっと舌を出した。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 298人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
柊(プロフ) - クリスさん» コメントありがとうございます！亀更新ではありますが、これからも応援していただけると嬉しいです。ぜひ楽しんで下さい！ (2021年2月17日 23時) (
レス) id: 9a230f5c32 (このIDを非表示/違反報告)
クリス - とっても面白いです！更新頑張ってください！ (2021年2月17日 22時) (レス) id: e4548ba768 (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - 百夢叶さん» コメントありごとうございます！やる気出ました笑 (2020年5月2日 18時) (レス) id: 351dea1b4f (このIDを非表示/違反報告)
百夢叶(プロフ) - 更新待ってます！頑張ってください！ (2020年5月2日 17時) (レス) id: 4a44319a0a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：柊 | 作成日時：2020年1月1日 22時
