mission 54 ページ4
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午前の授業が終わって、いよいよ昼休みってとき。
俺は大ちゃんと弁当を食べる為、一足先に屋上に来ていた。
大ちゃんは便所だってさ。
……え、屋上は立ち入り禁止だって?
大丈夫。大ちゃんが俺を止めてくれるから、死ぬことだってないだろうし。
まだ一回も怒られたことないから。
「やっ、八乙女くん!」
急に背後から女子の声がして、ビックリして振り返った。
あの子、同じクラスだった気がする。よく覚えてねぇけど。
「なに。ここ立ち入り禁止なはずだけど」
「そう言う八乙女くんもここにいるじゃん」
「いや、まぁ……そうだけど」
女子って分からない。
どうしてあんな不気味な笑い方をするのかも知らないし、まずまず喋らない俺と話そうと思う奴なんて殆どいなかったから。
コミュ障ってこういうことなのか?
「で、なに」
「私、八乙女くんのことが好きなんです。付き合って下さい。お願いします!」
「……は、」
いやいやいやいや、無理だろ!
だって俺、女苦手だし、今日初めて喋ったくせに付き合おうとかよく言えんな!
「ダメですか」
目をウルウルさせてちょっと上目遣いでこっちを見てる。
俺は女の、こうやって媚を売るところを嫌いになったんだろうな、と今になって思うんだ。
「……いや、なんてーか、ごめん」
「え、」
「付き合うとか、ちょっと、無理で」
どういう断り方をすればいいのか分からなかった。
断り方を探すのも面倒で、大ちゃん早く戻って来い!としか考えられなかった。
「他に好きな人でもいるんですか」
「いや、そういうんじゃないけど」
「じゃあ私のこと嫌いなんですか!」
そういうんじゃねえって……。
俺が返答に困っていると、どこからか女子の肩に手が回り、声が聞こえた。
「ほらほら、光くん困ってるし、昼休み終わっちゃうよ?早く帰らないとご飯食べれなくなっちゃうから、ね?」
優しく諭す大ちゃん、マジでナイスだ。
こればっかりは自称チャラ男の大ちゃんに感謝だ。
心の中でそっと拝んでおこう。←
「光くんも!ちゃんと断ればいいのに!」
「断ったって!」
「本当?……んまぁ、光くんは女子NGだもんね」
「おい!ここで言うなって」
「断る理由にそれ使うのもね。俺だったら笑えるけど光くんは冗談って感じしないし」
「すみませんね、そんな感じじゃなくて」
怒らないでよ、とペシペシ叩いてくる。
地味に痛いんだけど苦笑。
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柊(プロフ) - クリスさん» コメントありがとうございます!亀更新ではありますが、これからも応援していただけると嬉しいです。ぜひ楽しんで下さい! (2021年2月17日 23時) (レス) id: 9a230f5c32 (このIDを非表示/違反報告)
クリス - とっても面白いです!更新頑張ってください! (2021年2月17日 22時) (レス) id: e4548ba768 (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - 百夢叶さん» コメントありごとうございます!やる気出ました笑 (2020年5月2日 18時) (レス) id: 351dea1b4f (このIDを非表示/違反報告)
百夢叶(プロフ) - 更新待ってます!頑張ってください! (2020年5月2日 17時) (レス) id: 4a44319a0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊 | 作成日時:2020年1月1日 22時