mission 72 ページ22
yb side
「ほら、立って。早く出るよ」
仕事を終えた高木が、帰るのを急かしてくる。
片腕を持ち上げられて、為すがまま立ち上がる。
「高木、待てって。人通りが多くなるまで待とうぜ」
「今何時だと思ってんだよ。三時だ。分かるか？三樹矢が言ってるのはあと一、二時間は最低でも待たなきゃならないってことだ」
「良いだろそれで」
「……もしかして、お前外に出るのが怖いのか」
思わず口籠ってしまう。
我ながら分かりやすい。
そんな自分が嫌になる。
「……だって、あの人との約束を破ったこと無かったんだよ。そうしたらどうなるか、分かってたから」
「……まだ外に涼介いたよな。車、近くまで用意してもらうから」
それでいいだろ？
然も妥協したように提案してくる。
俺はお前のことを思ってそう言ってるんだよ。
「……高木に被害が出ないなら、それで」
「俺のこと心配する前に自分の精神状態に気を遣え」
心配してくれるのは嬉しいけどさ。
そう言って高木は、口の片端を綺麗に上げる。
そのまま待ってろよ、と涼介の元に向かった。
「あんな奴が、有岡のお気に召すのか？」
世の中、分からないことだらけだ。
猫が大嫌いなのに猫好きの同居人と暮らす奴もいるし、
そんな猫に恋をした男もいる。
そんな男に告白して、初恋が儚く散って、子犬に乗り換えた友もいる。
「あと10分待てってさ」
「たかきぃ、、」
「んだよ笑」
だらだらっと抱きつくと、嫌そうな顔を浮かべながらも支えてくれる優男。
こんなことを聞くのは、コイツには酷だろうか。
「俺、この仕事辞めても良いか」
「っ……、……なんでそれを、俺に聞くんだよ」
「俺がいなくなったら、高木はどうすんのかなぁって、思って」
「この仕事は天職だろうし、ずっと続けると思うけど」
そうか。
俺のことを引き摺らないなら、それでいい。
「偶に客として来てやるよ」
「友達でいい。あの苦い恋を思い出させるつもり？」
「……高校生とヤったら違法だからな」
「あれ、そういう三樹矢は──」
「なんのことかなぁ」
「……俺らが隠してやってんだから、他の客に見つからないうちにどっか逃げろよ」
あの客のことも、終わらせろ。
タイミング良く、涼介が車を準備したと伝えに来た。
高木はその声に応え、俺の手を取った。
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柊(プロフ) - クリスさん» コメントありがとうございます！亀更新ではありますが、これからも応援していただけると嬉しいです。ぜひ楽しんで下さい！ (2021年2月17日 23時) (
レス) id: 9a230f5c32 (このIDを非表示/違反報告)
クリス - とっても面白いです！更新頑張ってください！ (2021年2月17日 22時) (レス) id: e4548ba768 (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - 百夢叶さん» コメントありごとうございます！やる気出ました笑 (2020年5月2日 18時) (レス) id: 351dea1b4f (このIDを非表示/違反報告)
百夢叶(プロフ) - 更新待ってます！頑張ってください！ (2020年5月2日 17時) (レス) id: 4a44319a0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柊 | 作成日時：2020年1月1日 22時
