mission 64 ページ14
tk side
「じゃあっ──」
「でも、俺らの領域にそう簡単に入ってきてもらっちゃ困るんだよ」
言い終わるより前に、有岡くんの肩がびくり、と上がった。
気づけよ。君は。
「受け入れた訳じゃない、っていうのは」
「そう。だから光くんを、早く連れ戻してやって」
「俺が？」
「君以外に誰がいるの？」
言葉に詰まり、大きい目を泳がせる有岡くんを見ていると、俺が一方的に虐めているみたいに思えてくる。
「……俺なんかが、光くんを助けてあげられるのかな」
「どうして？」
「光くんは、俺を信用してる訳じゃない。ただ一番友達に近い存在なだけで、たぶん誰のことも信じてないよ」
だからあんなに必死に、大人になろうとしてるんだ。
大人なら、信じなくても生きてはいけるでしょ？
「……光くん、迎えに行ってあげよっか」
「え、でも光くん用事があるんじゃ」
あぁ、嘘吐いたこと忘れてた。←
「それ嘘。ごめんね？光くんから引き剥がしちゃって」
「え……どうして、そんなこと」
どうしてって言われても、ねぇ。
「有岡くんのことが気になったから。どうしても話してみたくなったから。……きっと、気が合うと思った」
指折り数えながら伝える。
「最後のも、理由？」
「気が合うと思ったのは本音。……ごめん。気持ち悪いかもしれないね」
俺に気を遣ってか、取れるんじゃないかって程勢いよく首を振って否定してくれる。
可愛いね、高校生ってのは。
「高木は、いい人だから」
……でも、無垢過ぎてこっちが怖くなるんだ。
「そう言ってくれるのは嬉しいけど、あんまり直ぐ俺みたいな奴をいい人だと決めつけるのは良くないな」
「どうし──っ」
彼の体が俺の方を向いた瞬間、屋上ならではの柵を掴んでいたその手が、一瞬だけどちらも離れた。
その両の手を掴んで一つに纏めると、驚いて力の抜けた彼の体と共に柵に押し付けた。
なんて弱いのだろう。
同じ男だってのに。
「こういうこと、されると思ってなかったでしょ」
「なん、で」
「人に質問する前によく考えてみた方がいい。君に原因があるんだってこと、分かってる？」
「……え？」
先程とは打って変わり、怯えたような表情だ。
彼の目を見つめながら、高さが合うようにしゃがむ。
押し付けた彼の体は地面に座り込んで、少しずつ呼吸が乱れてきていた。
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柊(プロフ) - クリスさん» コメントありがとうございます！亀更新ではありますが、これからも応援していただけると嬉しいです。ぜひ楽しんで下さい！ (2021年2月17日 23時) (
レス) id: 9a230f5c32 (このIDを非表示/違反報告)
クリス - とっても面白いです！更新頑張ってください！ (2021年2月17日 22時) (レス) id: e4548ba768 (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - 百夢叶さん» コメントありごとうございます！やる気出ました笑 (2020年5月2日 18時) (レス) id: 351dea1b4f (このIDを非表示/違反報告)
百夢叶(プロフ) - 更新待ってます！頑張ってください！ (2020年5月2日 17時) (レス) id: 4a44319a0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柊 | 作成日時：2020年1月1日 22時
