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mission 11 ページ11

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「光……なんでっ」

「ごめん伊野ちゃん」

「ごめんじゃ許せない」



家に帰ったら、玄関を開けた瞬間に半泣きの伊野ちゃんが抱きついてきたのを覚えてる。

それから解放された後はずっと無言で、殴られるくらいのことはされても文句言えない、と覚悟していた。

でも伊野ちゃんが口を開いたのは夕食後、ポツリと呟いた。



「どこ行ってたの」

「それは……」

「どこに行ったって光の自由だよ。俺は口出しするつもりない」



落ち着き払っていたのは、俺よりも伊野ちゃんの方だった。

怒ることもしなかった。

本当に心配してくれている。そう思えた。



「怒らないの」

「……怒らないよ。本当は言いたいこと山程ある。でも光。怒られるべきなのは、大ちゃんからだ」



俺の目をこんなにも真っ直ぐ見てくれる人などいただろうか。

頼りたくなるんだ。助けてほしくなるんだ。

そんな瞳で見てくれるなら信じてもいいのかなって、単純な俺にはそう思えてしまう。



「大ちゃん?」

「大ちゃんは1日、光を血眼で探してくれた。謝るべきなのは大ちゃん。何してたのか伝えるのも、大切にしなくちゃいけないのも大ちゃん」



俺の頭を撫でてくれるのは伊野ちゃんだけだった。

俺を友達だって言ってくれるのは大ちゃんだけだった。

だから悲しませたくないと、心のなかでそっと誓っていた筈だった。



「光は、自分のこともっと大切にしていいの。閉じこもってばかりじゃなくて、人を信じてみていいの。ね?」



泣いた赤ん坊をあやすみたいに優しく撫でてくれた。

それだけで今の俺には十分だった。



「俺、怖いんだ」

「……ん」

「伊野ちゃんにも、見放される気がして」

「……うん」

「伊野ちゃんを家族と見られなくて」

「……そっか」

「……ごめん」



何分か何時間か。

分からないくらい短かったような気がするし、とても長かったかもしれない。

ただ俺は、伊野ちゃんにすがりついていた。



「ひかるぅ〜あの学校早めに個人面談あったよね。俺行っていい?」

「三者なんだから行くしかないじゃん」

「なんで嫌そうなの〜?俺めっちゃワクワクしてきた!仕事ならいつでも休めるから、いつでも好きなときに入れといてね!」

「う、うん」



若干押されぎみに頷いたけれど、実は嬉しかった。

照れ隠しが下手だから強く当たっちゃうけど、そんな俺の性格も把握してくれている伊野ちゃんがお兄ちゃんみたいで心地よかった。



「素直でよろしい!」


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作者名: | 作成日時:2018年10月12日 19時

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