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mission 29 ページ29

tk side


「いいのか、三樹矢」

「あいつにはあのくらいが丁度いいんだよ」

「俺には睨んできたくせに」

「いい嘘と悪い嘘ってのがあんの」

「どっちがいい方?」

「……どっちも」



光くんを追い出したかったのは分かる。

聞かれてはならないことだって、世の中には幾らでもあるしさ。

分かるよ。分かるけどよ……。



「光くんを一人にした」

「しょうがねぇだろ」

「……それでも教師かよ」

「今はホストだ」

「さっきまでは、な?」



ソファに再び寝転がった三樹矢を無理矢理起こし、隣に座ってやった。



「ってぇな」

「ほれ。見してみ」

「……、ん」



右肩を打つけたか?

あのお客さん派手にやるからなぁ。



「また同じ人だったの」

「あぁ。……うっ」

「ごめん、痛かった?」

「いや、大丈夫」



右肩を診るために服を脱いでもらったけど、服を脱ぐのにも相当な痛みが走るらしい。



「あちゃー。ひっどいなこれ」

「ど、なってる?」

「明日にはでっかい痣になる感じの」

「マジかよ……」



あのお客さん力づくで従わせようとするからな。

路地の壁にでも打ったんだろ。



「……出禁決定」

「それはなし」



流石に怪我を負って、三樹矢も懲りただろうかと思ったけれど、まだまだこいつには自信があるらしい。



「こんなことされたのに?」

「誰かがストレス発散のために動かないと、他の奴らが犠牲になる可能性もある」

「じゃあ警察」

「万が一、いや、億が一にも八乙女がいるときに来られたら困る」

「じゃあどうすんだよぉ」

「耐える」

「馬鹿か」



光くんね……。

あの子さえいなければ、三樹矢は自由なのに。



「なんだっけ、幼馴染みから頼まれたんだっけ?」

「あぁ。俺が死んだら、守ってくれってな」

「……一人にして傷つけて、それ出来てんの?」

「っ……。強く言わねぇと、あいつ絶対帰らなかった、から、、、」



もう、どいつもこいつも、どうしてそんなに奥手なんだよ!!



「任されたんだろ?頼られたんだろ?」

「……そうだけど」

「だったら守れよ。追いかけてやれよ」



こいつは恋する乙女かよ。

てか俺はキューピッドかよ。



「……でも」

「ほら、さっさと行け」

「どこにいるか、」

「じゃあ探せって!」

「……分かったよ」



三樹矢を見ていて一番辛いのは、過去に囚われている瞬間だ。

俺が癒せる傷じゃない。



だから、俺だって怖いんだよ。


.

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作者名: | 作成日時:2018年10月12日 19時

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