跡部にひたすら気に入られてる女子がいるらしい【テ/ニ/ス/の/王/子/様】 (ページ20)

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気に入られた19 ページ20

「…お前…それ…」

向日が弁当を見るなり引きつった顔をする。

「え、なに」

至って普通の弁当なのだがどうしたのだろうか。

なぜか全員の視線が私の弁当に注がれる。

「いや、そんなきょとんとした顔するなや」

「普通でしょ？」

「に、肉しかないだろ！？」

確かにそうだが白米の存在を忘れておられる。

白く象徴された白米を口に含みながら「お米あるし」と小言を言う。

「野菜はねーのかよ」

と苦笑気味に言う宍戸くん。

「野菜は嫌いだから」

肉肉しい弁当をつつきながら話すと鳳くんが弁当を置いて口を開いた。

「野菜食べないとダメですよ！お肌に悪いです！」

友達に何回も言われてたことを鳳くんに言われて目を見開く。

男子にそんな女子みたいなことを言われたショックでしばらく固まってると、

「好き嫌いするのはよくねーぞ？A」

跡部が上から目線で言ってくるので睨んで言い放つ。

「そっくりそのまま返すね。節足動物嫌いめ」

そう、意外なことに跡部景吾は節足動物が嫌いらしい。

私は節足動物は好きでも嫌いでもないが跡部が

柄にもなく節足動物を見て青い顔をしているのを想像するとおかしくて笑ってしまう。

「これとそれとは関係ねーだろ」

呆れた顔でマジレスされて逆にこっちがうっと詰まる。

仕方ないだろう。この弁当に彩もなにも求めず

肉しか求めない私は野菜を入れるよりも肉を入れた方がいいのだ。

例え氷帝の王様が言ったところで野菜を入れるつもりはないので

注がれる視線を無視しておかずを口に運んだ。