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ふと、後ろから声がした。
確実に俺を呼んでいた声。振り向きたくないが、錠剤を手に持ったまま振り向いた。
「…レイか。どうかした?」
そこにいたのは案の定レイだ。布団から半身を起こして俺を見つめる。
「なんだよ、それ」
少し気難しそうな顔をして手のひらにある錠剤を指さした。
あぁ、そういえば言ってなかったっけ。
まぁ聞かれなかったから言わなかったものあるが。てっきりもう知ってるのかと思ってた。
「甘くて美味しいやつ」
なんて冗談を言っていると、レイは怒った顔をして「マジで言ってんのか」と脅してくる。
「冗談の通じない子だなぁ。これは風邪薬だよ。最近喉が痛くて」
別に睡眠薬のことを隠したい訳では無いが、バレたらバレたでエマになにか言われるに決まっている。
それは面倒くさいから避けたい。
「嘘なんだろ?」
「…もういいじゃん、寝ようよ。そこまで知りたいなら勝手に見ればいいよ。誰にも言わないでね」
そう言って俺は手に乗っていた錠剤をパクッと口に放り込み、飲み込んだ。
片手に持っていた瓶はベッドの下の引き出しにしまい、布団を被る。
「おやすみ」
「____バカ」
レイの言葉は、聞こえなかったことにした。
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エクレア - 無理しない程度に更新、頑張ってください!!←上から目線ですいません。(-_-;) (2020年4月7日 8時) (レス) id: eaebe9ca52 (このIDを非表示/違反報告)
鶴喰 蛍 - 有難うございます!頑張ります! (2019年3月21日 17時) (レス) id: 68daf44f94 (このIDを非表示/違反報告)
夜 - 続きがすごく楽しみです! (2019年3月20日 19時) (レス) id: 17c90f0c09 (このIDを非表示/違反報告)
鶴喰 蛍 - 頑張ります! (2019年3月15日 21時) (レス) id: 68daf44f94 (このIDを非表示/違反報告)
とまと - めっちゃ好きです、更新待ってます! (2019年3月13日 13時) (レス) id: 31edd7f2a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鶴喰 蛍 | 作成日時:2019年2月23日 21時