【約ネバ】眠れないのは (ページ12)

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条件ページ12

「おかえり、ママ」

「えぇ、ただいま。」

ガチャッと音がして、ママの部屋に入る。ママはいつも通りの顔で俺を待っていた。

「＿＿ハウスの秘密がバレたわ」

来たか。

「…即出荷、なわけないよな」

「えぇ、出荷までに逃がさなければいいの。」

期待の眼差しを向ければ、ママは乗った。

確かに、脱獄する前にフルスコア組を出荷してしまえばなんとかなる。

恐らく後々ドンとギルダも仲間に入れるだろうが、あの二人だけでは精神も体力も持たないだろう。

「じゃあ俺は何をすればいい？」

「いつも通り情報を頂戴。それだけでいいわ」

「分かった。あと、今日のやつ。」

俺は手に持っていた小さな紙をママに渡す。

この服にはポケットがないから面倒だ。四つ折り以上折った紙に、情報を書く。

「健気なものね」

「ママもね」

そう言うと、ママは少し顔を顰めた。

"ママもね"の意味を、彼女自身も知らない。だって無意識なのだから。

「前から言ってるけど、俺は交換条件で動いてるだけだから。
こっちの利益さえ無くなれば、切り捨てる」

元々そう言う"契約"だった。

俺を内通者にしたのはママだ。ママから頼んできた。

何を思って何故俺にしたのかは知らない。というかその頃はどうでもよかった。

俺には幼児期健忘がなかったからハウスのことは全部知ってたけど、ママから内通者に誘われるのは予想外だった。

まさかそんなことは普通思わないだろ？

ちなみにママと俺で一致した条件は、

①お互いに利益的な物を交換すること

②裏切りはしない

③本音で話す

この三つだ。③に関してはママから欲求されたものだが本音で話し合った方が楽だから了承した。別に、不利なことは無い。

「それは私もそうよ」

ママは黒い笑みを浮かべた。

「あぁ、承知の上だよ」

そう言って、俺たちは握手を交わした。