幹部に求婚されたかもしれないんですがそれは

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「え、俺は！？」
「俺が行く言うてるやん！」
「はっ、潔く諦めてくださいよ、みっともないっすわ」
「ええんか！？ ショッピくん連れてったらえらい愛想ない彼氏や思われるぞ！？」
「は？ 媚び売りまくるに決まってんでしょ」
「こんな奴やぞA！ 紹介したら噂回るように根回しされてまうぞ！？」
「あんたら失礼すぎちゃいます？」
「行く時は変装しますからその心配はないかと……」
「え、なんで？」

おずおずと口を挟めば、本気できょとんとした顔のシャオロンさんとコネシマさんに、少しだけ笑って再度口を開く。

「ただの町娘とショッピ様がどうして、と騒ぎになってはいけませんから。それなら式典で行う変装をして、幹部として同行した方が良いでしょう」
「あー、せやな……」
「……せやったら俺らでもええんちゃうん？」

あからさまにしゅんとした顔でこちらを見つめるシャオロンさんに、思わず言葉に詰まる。正直に言えば元勤め先の話につられただけなので、誰でもいいといえば誰でもいいのだ。かといって一度了承した以上断るのもどうかと思うし、でもコネシマさんまでじっと見つめてくるし。
困り果てて視線を彷徨わせていれば、するりと後ろから腰に回ってきた手に引き寄せられた。驚いて見上げればオスマンさんで、にっこりと笑った彼が口を開く。

「あんま我儘言ったらんの、困ってしまっとるやん」
「う」
「パン屋さん行くんやったら俺のフルーツサンドも買ってきてや、あれ好きやねん」
「了解っす」
「で、シッマとシャオロンはショッピくんにお小遣い渡したったら？ お詫びにはなるやろ」
「なんで俺らがショッピくんとAのデート代出さなあかんねん……」
「二人がショッピくんに水引っ掛けたんやろ、その詫びやで」

机に沈んだ二人を眺めていれば、くいとまた裾が引かれて。にこりと笑ったショッピさんに、楽しみにしとるな、と告げられて、私も小さく微笑んだ。

「オスマン様、ありがとうございます」
「ええよ、大したことちゃうもん」
「いえ、助かりましたので」
「んー、ほんならお礼はこれにしとくわ」

言うが早いか、くるりと反転させられた体をぎゅうと抱きしめられて、思わずぴしりと固まった。ふふ、と耳元で小さく笑った彼の顔は見えなくて、ただ、服越しの体温と、存外に強い力だけを感じた。

「ん、ご馳走様。じゃあおやすみ〜」
「お、やすみ、なさい……」

呆然とする私を置いて、トルコ帽はどこか楽しげに揺れながら遠ざかっていった。

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