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「報酬はいりません、これまで仕事をした国々で得た情報全てをお渡ししましょう、お望みとあらば何処の国の誰であろうと、必ずや殺してみせましょう。……この世で二人を除いては、ですが」
「その二人とは？」
「総統閣下、貴方様と……先に話に出した友人です、もう所在も、命があるかもわかりませんが」
「……報酬は高くつくと聞いていたが、一銭たりともいらないと？」
「金銭が必要だった時期もありましたが、今はもういりませんので」
「ではどうやって生活するつもりだ」
「働き口ならばいくらでも」
「……俺を殺しかけた人間を、この城から出すとでも？」
ああ、そうか、その通りだ。ならばこの城で私に何が出来るのか。女中か、庭師か、それとも。
「……私が浅慮でございました、では、総統閣下」
「ああ」
「この城で、私に何が出来ましょうか」
「……」
「ご用命とあらば如何様な任とてこなしてご覧にいれましょう、しかしながら潜入前に調べさせていただいたところ、ここは非常によく機能した造りに見受けられました」
「その通りだ」
「ならば、その中に私という異物を紛れ込ませたところで、ここの機能が崩壊するだけではございませんか？」
く、とグルッペンさんが低く笑った。それは徐々に高笑いへと変わり、しんとした空間にそれだけが響く。呆れたようなトントンさんの溜息が重なって聞こえた。
これは、どういうことだろうか。
「ああ、面白いな、お前は本当に面白い」
「……光栄にございます」
「その通りだな、では、俺の知り合いとしてここに住め」
「……はい」
「監視はつけさせてもらうが街に出て働くといい、暫くしたら暗殺者としての任務を与えよう」
「何なりと」
「それをこなして、そうだな……その監視の者が認めたら、お前を正式に幹部に引き入れる」
恐らく彼がトントンさんを伺ったのだろう、好きにしいや、と諦めたような声がした。低く喉奥で笑ったあと、顔を上げろ、と告げられた通りに彼を見上げる。
真っ直ぐに見据えた碧眼は、やはり酷く美しかった。
「俺に忠誠を誓うか、A」
「ハイル・グルッペン、……総統閣下、何なりと、貴方様の望みのままに」
再度、深く頭を垂れる。
静かな総統室に、彼が低く喉奥で笑う音と、書記長の彼が吐いた重い溜息が響いた。
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陽乃(プロフ) - 黒猫さん» コメントありがとうございます、黒猫様の御趣味に添えられたようで嬉しい限りです。続編ものんびり書いておりますので、楽しんでいただければ幸いです。 (2020年5月29日 16時) (
レス) id: 89afdb7f98 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫 - 全て見させていただきました。俺はこういう作品が好きなので、とてもいい気持ちになりながら見ていました。神作品をありがとうございます。 (2020年5月21日 10時) (レス) id: 0779f5a88d (このIDを非表示/違反報告)
陽乃(プロフ) - （名前）さん» コメントありがとうございます。建物の設定は実在する基地や城塞、そして仰る通り大脱走など御本人たちの動画を参考にした部分もありますね。気づいてくださって嬉しいです。 (2020年4月12日 21時) (レス) id: 4760b364cd (このIDを非表示/違反報告)
（名前） - 9の途中まで見ました〜なんかPX、商店、、かな？みた途端、大脱走元にしてるんかなって思ったーーー！！実際どうですか？本当に大脱出が元だったら、、違うくても、話の作り方、うますぎる… (2020年4月12日 19時) (レス) id: ca685f05f7 (このIDを非表示/違反報告)
陽乃(プロフ) - 黒胡椒さん» コメントありがとうございます、のんびり更新していきますのでよければお付き合いください。 (2020年4月4日 3時) (レス) id: 4760b364cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：陽乃 | 作成日時：2020年3月16日 17時
