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なんでだ。
自分の食事量が異様に少ないという自負はある。それはこれまでの環境が大きいから仕方ないし、別段困ってはいないので直すつもりもなかった。
それに、私がここに来た経緯を知っているグルッペンさんやトントンさん、恐らくロボロさんとしんぺい神さんも、私がいては安心して食事をとることも出来ないだろう。
トントンさんに視線を向ければ、彼は呆れたような顔で腕を組む。
「栄養も何もあらへんやんけ、仲間になるんやったら放っとけんわ」
「失礼ながら、信用するにはあまりにも早すぎるのでは」
「それをお前が言うか？」
「その通りですが、私がその場で毒を盛るという可能性も御座います」
「ほう、友人を救った恩人にか？」
「それが作り話だとはお思いにならないのですか」
「その可能性をわざわざ示唆するのは余程の馬鹿か、お人好しか、その二択に絞らせる狡猾さを持つ者であるかだな。お前は二番目だと思うが」
だからなんでだ。
まだ試験は終わっていない、というか何なら始まってすらいない。自分で言うのも何だが私がスパイである可能性はあまりにも高いし、地下牢に繋がれていても、拷問を受けていても可笑しくなどないのだ。
それなのに、どうして。
困惑の色を隠すことなくグルッペンさんを見やると、彼はにやりと笑った。
「俺は、お前を使える存在だと見込んでいる」
「……光栄です」
「表立って堂々とお前を使うためには、監視の者に認められるようきちんと暗殺任務をこなしてもらわなければならない」
「はい」
「戦う者は体が資本だ、故に食事や睡眠を疎かにしていては、使えるものも使えなくなる」
言っていることはわかる。
わかるけれど、たかだか一度トントンさんを出し抜いたというだけでこの扱いになるのか。飼い慣らすより殺した方が手間はかからず楽だろう、それなのに、有用性があるからといってこうも気を抜かれるものなのか。
「さあ、他に言いたいことはあるか？」
ぞくりと、背筋が震えた。
この二人はどうしてここまで無防備になる？ どうしてナイフを取り出した瞬間撃ち殺さない？ どうして私がグルッペンさんを殺そうとしたという事実を知らしめない？ 他の幹部もだ、どうしてこんな不審な人間を警戒する素振りを見せない？
私は一体、何を見落としている。
彼らは一体、何を考えている。
「……これまでに得た情報の受け渡しは、誰に、いつ行えばよろしいでしょうか」
私は、ここにいて良いのだろうか。
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陽乃(プロフ) - 黒猫さん» コメントありがとうございます、黒猫様の御趣味に添えられたようで嬉しい限りです。続編ものんびり書いておりますので、楽しんでいただければ幸いです。 (2020年5月29日 16時) (
レス) id: 89afdb7f98 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫 - 全て見させていただきました。俺はこういう作品が好きなので、とてもいい気持ちになりながら見ていました。神作品をありがとうございます。 (2020年5月21日 10時) (レス) id: 0779f5a88d (このIDを非表示/違反報告)
陽乃(プロフ) - （名前）さん» コメントありがとうございます。建物の設定は実在する基地や城塞、そして仰る通り大脱走など御本人たちの動画を参考にした部分もありますね。気づいてくださって嬉しいです。 (2020年4月12日 21時) (レス) id: 4760b364cd (このIDを非表示/違反報告)
（名前） - 9の途中まで見ました〜なんかPX、商店、、かな？みた途端、大脱走元にしてるんかなって思ったーーー！！実際どうですか？本当に大脱出が元だったら、、違うくても、話の作り方、うますぎる… (2020年4月12日 19時) (レス) id: ca685f05f7 (このIDを非表示/違反報告)
陽乃(プロフ) - 黒胡椒さん» コメントありがとうございます、のんびり更新していきますのでよければお付き合いください。 (2020年4月4日 3時) (レス) id: 4760b364cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：陽乃 | 作成日時：2020年3月16日 17時
