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結萌が出ていった扉をしばらく見つめていた
頬に暖かい何かがつたってきた
涙だ
1度流れた涙はとめどなく流れ続けていた
本当はこんな暖かい涙を流す権利なんて
私にはないんだ
「…ごめんなさい」
無意識に口からでた言葉
…これは、何に対しての謝罪なのだろうか
梨愛ちゃんだけに罪を乗っけたこと？
優希のことを放っておいたこと？
結萌の言葉をしっかりと聞いてあげれなかったこと？
挙げだしたらキリがない
私はこの人生という短い間でどれほどまでの罪を犯してきたのだろうか
その罪はこの国では捕まらないような罪かもしれない
だけれど
その罪は誰かを深く傷つけたものなのかもしれない
誰かの人権を奪っていたのかもしれない
…10月5日
今日は私が人生で1番幸せになれた日
だけど、今となればそんな日なかった方が良かったかもしれない
結局は2人を傷つけることになっていたのだろうから
だけど…2人には感謝してるんだよ
生まれてきてくれてありがとうって
こんな私をお母さんにさせてくれてありがとうって
…さっきの結萌の行動
あれを見たら何だか寂しくなった
いつの間にかこんなにも成長したんだなぁ
そう思うと同時に結萌がとても遠くにいる存在に見えてきたのだ
子供はこんなにも成長してるのに
誰かのために一生懸命になれるほど…いい子になっているのに
…私は…私達はどうなのだろうか？
いつになっても優希が病気ということを信じたくがないがために
現実を受け止めたくないために
優希に会いに行かず
お見舞いはいつも結萌に任せっきりだった
それなのに
急に海外に行くだなんて言い出して
…いい加減だよね…
せっかく、楽しかっただろうにね…
「…二人とも…」
…私がこんなこと言う資格は無いかもしれない
だけど…これも母の我儘として聞いて欲しい
「お誕生日おめでとう」
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作者名：小夜時雨 | 作成日時：2019年3月24日 13時
