優しい嘘と冷たい言葉 2 (ページ36)

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「…どこに行くの？」

「…梨愛のお母さんから聞いてると思うけど梨愛がいなくなったの
だから、探しに行くの」

「…やめなさい」

「…なんで？」

「こんな雨だと視界も悪い
…また、事故になんかあったら…今度こそ…骨折だけじゃすまないかもしれないのよ」

「…じゃあ何？
自ら消えようとしている友人を見捨てろと言うの？」

「…こんなこと言いたくないけどねぇ
優希のストレスの原因は全部梨愛ちゃんのせいなのよ」

…何を言い出すんだ
梨愛だけのせい？
そんなわけないじゃんか

「梨愛ちゃんが優希を裏切ったから優希は…」

「違う」

お母さんの言葉を遮って私はこういった

「梨愛だけのせいなんかじゃない
私だってお母さんだってお父さんだって学校の先生だってクラスメートだって…
たくさんの人が優希のストレスの要因となっていたの！」

「…そんな訳」

「あるわよ！
逆になんで梨愛だけのストレスで優希はへこたれてる訳？
優希はそんな弱い子じゃない！
その証拠に入院中、私の前で笑顔を絶やさなかった
悲しかっただろうに！辛かっただろうに！泣きたかっただろうに！両親に甘やかされてるのが…憎らしかっただろうに！私だけが贔屓されているのが憎らしくて仕方がなかっただろうに！
優希はずっと私に笑いかけてくれた
それで余計ストレスが溜まった
…だから、病気は一向に良くならないの

それに、なんでお母さんとお父さんは優希に会いに行かなかったの？」

「…それは忙しかったからで」

「その台詞聞き飽きた！
ならなんで私のお見舞いはしっかり来てくれたんだろうね！」

私は何も言わなかったお母さんに背を向けて

「反抗的でごめんね
でも、これは、私が選んだことだから

…心配してくれてありがとう」

そういい勢いよく扉を開けてまだ土砂降りの雨の中を2つの傘を持ちながら走っていった