優しい嘘と冷たい言葉 2 (ページ33)

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バカでかいお屋敷
…3人で住むにはあまりにも広すぎる
それに、こんな大きなお屋敷に住んで執事一人雇ってないのって逆に恥ずかしくない…？

そんなことを考えていたのは
私…学級委員こと、夕月紗奈

お母さんと弟と暮らしている
お父さんはどこかに行ってしまった

…お母さんは1人で働いている
それも、年収は3人で過ごすのにはあまり困りようのない金額だ

なら、何故こんな貧相なくらしをしているのか？
答えは簡単なことだ
さっきも述べたように
私はとてつもなく大きな屋敷に住んでいる

屋敷だから家賃もバカならないんだよね
そのせいで私たちの生活はとても苦しいものになっている

ご飯も満足には食べられない
そりに、今は義務教育だから仕方なくお母さんも私を学校に行かせてくれているけど

きっと中学校を卒業したら
バイトに勤しまなきゃいけないんだろう

こんな想いをするならこの屋敷を売ってしまえばいいのに

…だけどお母さんはこの屋敷を手放すつもりはないそうだ

理由は他でもないお父さんとの思い出があるからだ
…離婚はどちらかが切り出したのかは分からない
喧嘩をしていた訳でもないからどちらかが愛想を尽かしたのかもしれない
その辺はお母さんからは何も聞いていない

ただ、ある日の朝
お父さんはもう帰ってこない
そう伝えられただけだった

その時は私も幼いながら意味は分かってしまって
お母さんにしがみついていった
なんで！私、お父さんともっと一緒にいたかったのに！遊びたかったのに！
痛いの痛いの飛んで行けー！てしてもらいたかったのに…！
そういうとお母さんは心底鬱陶しいと思ってそうな顔をしながらも
私のことを撫でてくれた

でも、その手には
1ミリも優しさを感じられなかった

お母さんは4人の思い出を手放したくない
と言ってる割にはお父さんのことを酷く嫌っているようにも見える

お母さんはお父さんよりかは
家族ということに特別感を抱いていたのだろうか

そんなこと、怖くて…恐ろしくて聞けないんだけどさ
今のお母さんにそんなこと聞いたら
私、テレビで放送されるかもなぁ

…なんてね…