優しい嘘と冷たい言葉 (ページ7)

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「あぁー！梨愛〜
どーする？このまま教室帰るー？
それともこのままサボっちゃう〜？」

あのせんせーの授業苦手なんだよねー
彼女がそんなことを言っている
だけど私はそれよりも疑問で頭がいっぱいだった
…どうしてだ… 人は1年でここまで代われるものなのか？
私の目の前にいる女は私の記憶の中の女なのか？

…いや、そんなわけない

そんな…わけ…

…なら、なら、私の目の前にいる…コイツは…

「あー、やっぱりサボろっ！今授業でてもいいことないよー」
「……………だ」
「…ん？」
「…お前は…誰だっ…！」

「…は？」
彼女の素っ頓狂な声は静かに辺りに木霊した

.*✿

＿誰って…ひっどーい！梨愛私の事覚えてないの！？クラスメートなのに！ほら、一緒にマラソン大会ビリになった仲じゃんか！

私の問いに返された答えは多分そんな感じの内容だったと思う
そうじゃない、私が聞きたかったのはそうじゃない
…そう言ってやりたかったけど声が出せなかった

結局、次のチャイムで私達は教室に戻り担任にこっぴどく叱られた
授業をサボったんだから当たり前だ。

彼女はあんなに怒らなくてもいいのにーとぶつぶつ言っていたが私は聞いていないフリをした
…いわゆる無視というやつだ

＿梨愛ちゃんってさ、なんでそんなに嘘つきなの？
私とは友達じゃなかったの？
ねぇ、なんで無視するの…！私はただ本当のことっ…！

…昔、彼女にかけられたハズの言葉が脳裏で響く
…今は無視されていることなんか気にもとめないで…いや、気づいていないのかもしれないが…ペラペラと喋り続けている

そんな今の彼女に私は
違和感しか感じなかった

無理をしてキャラを作っているようには見えない
ありのままで…自然体で居るような気がする

じゃあ小学校時代のがキャラなのかと言われたらそうじゃないと言いきれる

あれはあれで自然体だった

…どういうことだ
意味が分からない

こいつはいじめられっ子の…咲羅優希ではないのか？
泣き虫で弱虫の優希ではないのか？
…でも、誰よりも優しかった優希ではないのか？
…私が見放した優希ではないのか？
私が利用した…
咲羅優希ではないのか？

頭の中は混乱状態だった
訳が分からなかった
…だからあまり周りが見えていなかったのかもしれない

私は…
隣の彼女が笑みを浮かべていたことには気づけなかった