優しい嘘と冷たい言葉

004 ページ5

…チャイムがなった
あー、サボっちゃった…後で先生からお母さんに言われそう…
ふぅ…と息をもらし校舎の壁にもたれかかる
ひんやりとしていて気持ちがいい

そういえばこの近くに大木があった気がする
さっきから聞こえてくる蝉時雨はきっとあの大木からなのかもしれない

「…暇だ」

こんなことならやっぱり何か持ってくれば良かった…
サボるのに万全な準備が出来てなかったよ
うーんと背伸びをする
全然気持ちは変わらなかった
…ったく…シャキッとしないなぁ…

さっきから漏れ出すのはため息ばかりだ
ため息ばっかりついてると幸せもよってこないってよく言うが本当なのだろうか

ｻﾞｯ…

…事実、ため息ばかりついてる人間は幸せになろうという気持ちより落ち込んだ暗い気持ちの方が大きいのだろうから幸せなんて探す余裕がないのだろう

…私の場合のため息は暑い事の鬱陶しさやらなんか色々な感情が混じってでている

ｻﾞｯ…ｻﾞｯ…

…そういえばさっき屋上が騒がしかった気がする
不良が暴れだしたのだろうか…

ｻﾞｯ…ｻﾞｯｻﾞｯ

…あと、私はあえて触れてないだけだからね
こんなあからさまな足音気づかないわけがない
もし気づかなかった子がいたらその子はどんなけ鈍感なんだ
…というかこの状況なんかやばくない？

え、もしかして教師？
うっそー…マジで…？
いや、もしかしたら不良の可能性も…さっきなんか喧嘩みたいなことしてた気がするしそれでイライラのたまった不良がこっちに来たっての！？
まさか屋上から私のことが見えたとか？
実は屋上では怪しい取引が行われていて
その口封じのために…

…いや、最後のは明らかにない
なんで中学校の屋上とかそんな目立つ場所で取り引きなんかするんだ
でも、結構やばいことにはかわりない
教室でもやばいし不良でもやばい

校舎の角が邪魔で今まで見えていなかったが
今、人影が見えた
…こっちに来てる？

影だけじゃ判断がしにくい…だけど教師っぽくは無さそうだ
…だとしたら…不良？

じっとその人影を見る
…そしたら人影しかなかった場所にスニーカーがでてきた
そしてその人物と私は…

「あ」
「…あ」

目を合わせてしまった

005→←003

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す