【文スト】白虎の片割れ。第三幕

Episode.109 - Joker - 2 ページ34

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《キィン__ _ ___ ___》


調査員達の受信トランシーバー。
聞こえてくる雑音混じりの鈍音(にぶおと)に不安な心持ちが現れるも、
遠隔捜査として確実に情報を収集していく。



「…如何か無理はしないでくれ」




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キィン__________。



命運をかける抗争は、静かに、しかし激しく燃え上がる。

刀が十字状に交差しては弾き合い、絶え間なく火花を散らす。
一見すると冷酷な戦いだった。

…が、そうでは無かった。



暗器である仕込み杖を使う戦術ならば、長時間の戦闘は向かない。

Aの両親の教え_____『二秒で仕留める』とはこの事。




暫(しばら)く、空間内は刀が斬り合う音が共鳴し合い、
Aと頭領の熱くも冷たい討(う)ち合いが続いていた。


同時、刃を弾き合ったと思えば今度は頭領が瞬速に斬りかかり______



予測が追い付かなかったAは攻撃を流し切れず刀で身を防ぐしか無い。

…と思わせ、直ぐ反撃。



あくまで制圧、あくまで逮捕に至るまでの威嚇(いかく)、に過ぎないまでの攻撃のAに対し、
頭領は狡猾で狡い。

騙し討ちや誘導、流石は『九尾の狐』と云ったところであった。





________瞬間。

Aの瞳孔が収縮し、何かを見切る。


「…ち、」




頭領が察し舌打ちをした頃には時既に遅し。

発砲された銃弾のように縮まる、二人の間合いがそれを物語った。

Aが変則的に距離を詰め、時が止まった様な感覚と共に頭領の視界を塞ぐ。


頭領の重心はそのまま後ろへ_______







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