真冬の奇跡、さようなら A.R (ページ2)

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幻ページ2

眠くなってきたし、もう寝るか、と思い、私は寝床へとつく。

今日はいつも以上に疲れた。余計な考えを巡らせてしまったせいだろう。

余計な考えだ。と思っていたが、意外と忘れられていないものである。

それもそうだ。まだ亮平に関しては何も見つかっていないのだから。

失踪、という名目であり、まだその姿さえ発見されていない。

いったいどこへ行ってしまったのだろうか。

亮平とは喧嘩をしたままであった。謝ろうと思ったその日、亮平は居なくなってしまった。

「ごめんね。」も言えない自分自身に苛立ちを覚える。

そんなことを考えていると、いつの間にか眠っていた。

―A、A！―

私を呼ぶ声が聞こえる。誰の声だろうか。その声には聞き覚えがあった。

いや、ずっと探していた声だった。

「亮平…?」

なぜか亮平が目の前に立っていた。

―久しぶりだね、A―

「どうして…？」

―信じられないかもしれないけど、俺にもわからないんだ。―

亮平が真剣な面持ちでいう。

「というか、ここはどこ？」

私は亮平に尋ねる。周りは見渡す限り光に包まれている、何もない世界だった。

―ここはAが見ている夢の中だよ。ほら、頬っぺたつねってみて。―

亮平にそう言われ、私はほっぺたをつねる。

―どう、痛くないでしょ？―

「うん。痛くない。」

そう言って亮平は笑う。それは私が大好きな笑顔だった。

「で！でも！夢の中なんてありえない！夢の中に私が入れるわけないのに！」

私は明晰夢を見られるタイプではない。

それでも嬉しかった。

たとえこれが私の妄想だとしても。夢だとしても。

亮平に会えた。それだけで嬉しかった。

「あのさ、亮平。」

私がそう言ったとき、亮平からの反応はなかった。

「亮平？」

私が振り返った時、そこに亮平は居なかった。

その時、まぶしい光が私を包んだ。