【Dr.X】入院生活も案外悪くない

カルテ７ ページ8

入院生活ざっと1週間が過ぎた
ざっとだから正直正確にはわからない

いや、調べようと思えばすぐに調べられるのだがそれがなんとも億劫でずっと病室にこもりっぱなしの毎日である

あの迷子事件以来、佐々木さんはどうにも外出を認めてくれない
彼いわく「また迷子にでもなられたらこっちが迷惑だからね(溜息)」ということらしい

どれだけ馬鹿にしてんだあの美青年！！と最初はイラッときたものの、これって心配されてるってことじゃないか！と考えることにした
だって私が彼に喧嘩を売ったところで結果は目に見えている

ポジティブにいこうそうしよう


『あぁこんな平日の真っ昼間に眠っていられるなんて幸せだなぁ！！』

そう、これもポジティブに考えよう
暇なんかじゃない幸せなんだうんうん


『……はぁ、』

独り言って虚しくなるものですね
いつも監視するかのごとく部屋でくつろいでいる某美青年看護師も仕事で部屋を抜けていてツッコミがいない
つまらない

『まるでお城に幽閉されたお姫様だわ』

かっこつけて言ってみたけど、やっぱり痛い
独り言の時点で痛いっていうのに馬鹿なこと言ったな私


酷い後悔の渦に巻き込まれる
ベッドに顔をうずめて『く、黒歴史…ゔぁあ』と変な唸りをあげていた





その時コンコン、と病室のドアをノックする音が耳に届いた

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