【Dr.X】入院生活も案外悪くない

カルテ１９ ページ23

最近、院内食の肉類が喉を通らなくなってきた

理由はなんとなくだけど、わかってる
わかっててもどうにもできない
そんな私はやっぱり臆病者だ




先日までは充実した入院生活を送っていた
いや、少し語弊がある
今も充実した入院生活を送ってはいるものの、日が経つにつれ段々と体調が悪くなってきた

とにかく、体のあちこちが痛む
それもこれまでの比ではなく、まるで肉を切り裂くように、鈍器で叩き割るように

『…らしくないな』

ふ、と笑ってみる

毎日毎日、今までなんとも思わなかったものが怖いと思うようになった

一番怖いのは、手術だと思う
着々と近づいてくる手術日が恐ろしい

いつの間にか、体にメスを入れられるのが怖くなった
入院当時は全く考えていなかった

…否、考えようとしていなかっただけかもしれない

だけどここは病院
無事元気になって退院される方ももちろんたくさんいる
でもそうじゃない人も、いるんだ

もし、この手術が失敗したら？
私は死ぬの？

考えるだけで体が震えてくる
笑えるほどに、ガクガクと

やだなこんなところ
誰にもみせたくないや


ぎゅっと自分の腕を抱き込む

目を閉じて、眠ろう
そして明日は元気に振る舞おう


そう思いベッドにうずくまっても、痛みはやはり引いてはくれなかった

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募る不安、軋む心
崩れるナニカ

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