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｢いやー……あのさ､怒んないで聞いてよ?私がボンゴレで保護されてから10年以上経つけど､その間に色々あったじゃん｡拉致事件とかタリアテッレ騒動とか､本当に色々｡挙げ句曰く付きのリングを相棒にしてるし｡私はそのことを後悔してないし､好きでジョーさんと一緒にいるわけだけど｡だからデーチモは後悔してるんじゃないかなーと､思いまして｣
目を合わせずAは自身の想いを吐露した｡この気持ちはここ最近浮かび上がってきたわけではない｡何年も考えていたことだったのだ｡
ツナは黙って耳を傾けていた｡
｢私を保護しなきゃよかったとか思ってたら､申し訳ないなってずっと､思ってた｡それでも私はここにいたいし､出ていこうとは思えないから……ごめんねって､まあそんな感じです｣
気まずそうに言い終えたところ､ツナに深い深いため息をつかれた｡
そして一言｡
｢まだそんなことで悩んでたの?｣
｢そんなことって……私は真剣に｣
｢うん､分かってる｡ごめんな､Aは真剣に悩んでたんだもんな｡でもさ､俺が後悔してるように見える?｣
さまよわせた視線のピントをツナに合わせて､Aは黙りこむ｡
答えようとしないAに代わって､彼は答えを出した｡
｢もし後悔してたら､10年も一緒にいない｡Aの言う通りで大変なこともあったけど､全部俺たちの時間だったって俺は思ってるよ｣
それを聞いた途端､Aの目が大きく開かれてぽろぽろと涙がこぼれ落ちる｡泣き虫なところは変わらないな?なんて笑いながらそれを掬ってくれたのは､彼女が敬愛しているツナだった｡
｢言い忘れたけど｡10年前も今も変わらずAは可愛いから安心しろよ｣
部屋を出ようとするAにそう言えば､軽く頬を染めた｡やはり可愛らしい｡
｢……ツナさんだって､ずっとかっこいい､からね｣
しかし照れ混じりに言われたその言葉で､ツナの心は容易く奪われていった｡どうやらAの方が1枚上手だったようだ｡
こうして､10年経っても時計うさぎはアリスに振り回されるのだった｡
めでたしめでたし｡
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作者名：futureblue�鏡� | 作者ホームページ：http:/
作成日時：2020年9月17日 21時
