アリス、進む 01 ページ39
9年後｡
Aの18歳の誕生日が近づいた頃のことだった｡
｢……ん?戻った?｣
煙が晴れて､Aが不思議そうに周りを見渡していた｡今度は咳き込まずに済んだようだ｡
｢おかえり､A｣
｢あ､いつものデーチモだ!ただいま〜｣
ツナを見つけ､Aは嬉しそうに笑う｡
今日は彼女が初めて10年バズーカに巻き込まれた日｡無事に戻ってこれたことに内心ホッとしていた｡
｢ごめん｡10年前の俺が幼かったばっかりに｣
｢いいよ､楽しかったし｡っていうか､10年前にも聞いたよそれ｣
ランボが申し訳なさそうに過去の所業を謝った｡A自身は10年前をかなり満喫してきたようで､怒っているそぶりすら見せない｡
｢えっ､10年前?｣
｢ああそっか､ランボ兄ちゃんとしてはさっきのことだもんね｣
Aの言葉の意味するところを理解したランボは驚いたように声を上げた｡
｢もしかしてA､10年前の今日のこと覚えてるの!?｣
｢当たり前でしょー?衝撃的すぎてそう簡単には忘れられないって｣
おかしそうにケラケラ笑うA｡たしかに衝撃的な出来事だったが､それにしたって7歳の時に起きたことだ｡彼女の記憶力が優れていることは否めない｡
｢そうかもしれないけどさあ……｣
どうにも腑に落ちないようで､ランボがぼやいていたとき｡
｢ランボくん!10年前のAが来てるって本当かい!?あ､デーチモ､失礼します｣
ノックなしで勢いよく青年が入ってきた｡頭上の帽子がやたらと似合っている｡
｢……どうしてええ……｣
｢どういう意味よそれ｣
Aを見て青年はあからさまにがっかりした｡AはAで彼の態度に対して不満そうな表情｡
｢俺は!ちっちゃい頃のAに会えるっていうから仕事ほっぽって駆けつけたの!そりゃ今のAだってめちゃくちゃ可愛いよ?でも俺はアリス時代のAに会いたかったわけ!｣
｢ハットさんの気持ちはもう十分分かりましたから､落ち着いて｡Aが若干引いてます｣
ランボが青年､ハットをなだめるように声をかける｡しかしだって〜､と駄々を捏ねるハット｡よほど幼いAに会いたかったらしい｡
｢というかハットさん､暇なら仕事手伝ってくださいよ｡このままだと獄寺氏に叱られる｡Aはちょっと休んでからきてね｡もし体調に変わりないようなら戻って｣
｢えっ何で俺だけ〜〜!｣
ズルズルとランボに引きずられハットは出ていった｡
｢何で年下のくせして俺より身長も力あるんだよ!｣
廊下から聞こえたセリフに､部屋に残された2人は顔を見合わせ笑ってしまった｡
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作者名：futureblue�鏡� | 作者ホームページ：http:/
作成日時：2020年9月17日 21時
