アリス、決着をつける 01 ページ35
｢……正気かい?｣
｢正気ですね!｣
ドンが信じがたいような顔で彼女を見る｡しかしAからは一ミリの嘘すら感じられなかった｡
｢我々の掟なら知っているよね｡こちらがその気になればどうなるか｣
｢はい!分かってます!｣
｢……本当に分かっているんだよね?｣
軽い調子で言うので､ドンは思わず尋ね返してしまった｡自分たちはだいぶ重い話をしていたはずだよな……?と若干不安になったのだ｡しかしそんな心配は無用だった｡
｢だから分かってるってば｡でもね､昨日獄寺さんに計算してもらったの｡そしたらボンゴレが負けることはありえないって言ってたよ｡いくらタリアテッレでも､この邪魔者は斬れないよね?｣
そう言って不敵に笑うAに､もう脅しは効かない｡何なら脅しが何だと言わんばかりの堂々とした態度である｡
3日前の彼女と同じようにはいきそうにない｡
そう悟ったドンは戦法を変えることにした｡
｢でも一度はタリアテッレに移ると言ったんだよね?一昨日こちらに来ようとしたと､デーチモからうかがったんだけどなあ｣
一昨日彼女が失踪した時に念のためツナがタリアテッレにも連絡を入れていたのだが、これがまさかの仇となった｡
しかしAはそれでも動じない｡
｢気の迷いってやつです｡今思うと私､どうかしてたんですよねあの時は｣
ドンはAを侮っていた｡簡単にやり込めると思っていた｡
だけどそうもいかないみたいだ｡
｢大体スタートが間違ってたから､間違った答え出しちゃったのはしかたないと思うの｡1足す1を3だと思ってたらうまく計算できないでしょ?それと一緒だよ｣
Aは並大抵の説得じゃ靡いてくれそうにない｡ドンはその事実に少しだけ動揺した｡
ただの子供と思ってなめていては､交渉決裂になることは目に見えている｡冷静さを欠くことなく話をしなくては､と彼は認識し直した｡
さて､と息をついたドンがAに問いかける｡
｢Aちゃんは､そのリングにどれだけの価値があるか知ってるかな?｣
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作者名：futureblue�鏡� | 作者ホームページ：http:/
作成日時：2020年9月17日 21時
