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Aの気持ちを聞き終えたツナは､感謝を述べてからこんな提案をした｡
｢ありがとう､聞かせてくれて｡今度は俺が話していいかな｣
｢……いいよ｣
涙まじりの返事に苦笑しながらも､ツナは話を始めた｡
｢Aは勘違いしてるみたいだから最初に言っておくけど､俺はAのことを一度だって邪魔に思ったことはないよ｡俺だけじゃない､ファミリーの皆だってそう｡これだけは信じてほしい｣
Aは何も言わずに聞いていた｡ツナは続ける｡
｢今こんな話をするのは後出しじゃんけんみたいでずるいかもしれないけど､許してほしいんだ｡俺が､昨日Aを止めなかったのは理由があって……いや､止めなかったっていうか､止められなかったっていう方が正しいかな｣
｢止められなかった……?｣
｢そう｡俺さ､心のどこかでAはボンゴレからいなくならないって思ってたんだ｡絶対にドンからの誘いも断るって思ってた｡Aがどこかに行くなんて､考えたこともなかったんだ｡だから驚いて､何も言えなくて､でもAの気持ちは尊重したくて……ああ､うまくまとまんないよ!｣
思わず頭を抱えたツナ｡昔から筋道を立てて話をすることが彼は苦手だ｡大人になって少しはマシになったかのように思えたが､どうやらそうでもないらしい｡
｢とにかく!俺は､Aにボンゴレにいてほしいんだ｡タリアテッレじゃなくて､ボンゴレを選んでほしい｡遅くなっちゃったけど､これが俺の本当の気持ち｣
だけどその分､彼の言葉には人の心を動かす力がある｡リング争奪戦の時に獄寺の命を繋いだのも､初代の認定試験の時に山本に気づかせたのも､代理戦争の時に生きることを諦めたリボーンを叱咤したのも｡
全部､ツナの言葉だった｡
｢今さら､だよな｡ごめんな｡でもAの気持ちが何よりも優先事項だから､あとはAの､｣
ツナの言葉が途切れた｡
ドアが開かれたからだ｡ツナの背中には柔らかな温もりが感じられた｡
｢A､タリアテッレなんか､行きたくないよ｡Aだって､本当は､ボンゴレに､ずっと､ずっと……!｣
その先は泣き声で､すべて打ち消されてしまった｡
振り向いて腕を広げてみれば､Aは素直に抱きついてくる｡久しぶりに彼の服が涙で濡れていくのだった｡
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作者名：futureblue�鏡� | 作者ホームページ：http:/
作成日時：2020年9月17日 21時
