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Aは黙っていた｡ツナに対して､反抗的な態度をとってしまったことに罪悪感を募らせたのだろう｡その両眼にはうっすらと涙の膜が張っている｡
ともかく大声については謝らなくてはと思ったものの､口は開けそうになかった｡思うようにいかなくて､Aはますます泣きそうになっていく｡
｢……いいよ､言って｣
そんな彼女にまるで手を差しのべるように､ツナは声をかけた｡
｢まだ言いたいことがあるなら言って｡俺､Aの気持ちをちゃんと聞きたいんだ｣
そう言われたAは目を見開いていた｡それに伴って涙も引っ込む｡きっと怒っているだろうと思っていたために､彼の発言は目から鱗だったのだろう｡
言っていいのかと聞きかけて､一度Aは口を閉じた｡
いいって､ツナさんは言ってるんだもんね｡
確認の必要性を見出だせなかったので､彼女は今度こそ決意を固めて口を開いた｡
｢私ね､嬉しかったの｡ボンゴレに来た時にツナさんが私のこと､邪魔じゃないって言ってくれて｡ここにいてもいいんだって､すごく嬉しくて｡だからタリアテッレに行くって私が言った時､何も言ってもらえなくて､ちょっと……嘘｡本当はいっぱい悲しかったの｡ああ､やっぱりツナさんは､Aが邪魔だったんだって､思って｣
ぽろりと引っ込んだはずの涙がこぼれて､Aはぐしぐしと袖でそれを拭いとる｡涙声になっていないか不安になりながら､なおも話を続けた｡
｢止めてくれなくていいから､何か言ってほしかった｡ごめんなさい､わがままだよね｡迷惑かけないって､約束したのに､ごめんなさい｡でも本当に分かんないの｡何でお迎えに来たの?心配してくれたのも何で?Aのこと､邪魔だったんでしょ｡なのに､何で｣
感情のおもむくままに､Aは言葉をぶつけた｡自分でも何を言いたいのかよく分からなくなって｡
｢A､本当は､｣
つい本心を口走りそうになった｡
本当はタリアテッレファミリーに行きたくなんかない｡ずっとボンゴレファミリーで過ごしていたい｡
だけどすんでのところで彼女はとどめた｡
それを口にしてしまったら､覚悟が完全に崩れてしまうから｡
だから今はごしごしと目をこすって自分の気持ちから必死に顔を背けた｡
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作者名：futureblue�鏡� | 作者ホームページ：http:/
作成日時：2020年9月17日 21時
