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毎日が地獄のようだと､Aは思っていた｡
どんなに泣き叫んでも注射は射たれるし､藍色の炎が出せなければいつまでも実験は終わらない｡注射は2､3日に1本のペースだったが辛いものは辛いのだ｡青色の炎が灯るたびにAは絶望の淵へ突き落とされた｡
ある日､Aの閉じこめられれている実験室に新入りがやってきた｡
泣き疲れて眠りに落ちそうな時に入ってきた彼に､Aは枯れてしまった声で名前を呼んだ｡
｢ハット､くん?な、んで……｣
そこで限界がきたのか､彼女は眠ってしまった｡
次に目覚めた時､ハットは顔色を悪くしてベッドに寝転んでいた｡思わず心配してしまうくらいに｡
｢ハットくん､起きてる?……体､大丈夫?どこか痛い?｣
｢……Aちゃんこそ､大丈夫なの｣
目だけ動かしてハットはAに尋ねた｡Aは少し悩んでから､頷いてみせる｡
｢よかった……｣
へらりと力なくハットは笑う｡どうしてここにいるか聞けば､彼は拒むことなく教えてくれた｡
｢Aちゃん､注射されてるでしょ｡あれ､俺の血からできてるんだ｡俺､霧属性だから……｣
Aに処方されている注射器には透明な液体が入っていた｡どうやらあれには科学者が血液から抽出した成分が入っていたらしい｡しかもその血液はハットのもの｡
Aとハットの両方を一気に潰そうと考えた男が､ハットに献血だとかなんとか適当な理由をつけて採血させたのだろう｡Aが閉じこめられてから3週間は経っていることから､しばらくの間は気づかれることはなかったみたいだが､良からぬことが起こっているとハットが感付いたためにこうして実験室に連れてきたというところか｡
｢だけど安心して､Aちゃん｡もう大丈夫だよ｣
よいしょとハットは起き上がった｡貧血気味のせいか､起き上がった反動で目眩に襲われているらしく額に手を当てている｡
｢俺が来たから｡ここから逃げられるよ｣
ハットはそう言って手を差し出した｡
｢一緒に逃げよう｣
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作者名：futureblue�鏡� | 作者ホームページ：http:/
作成日時：2020年9月17日 21時
