検索窓
今日:73 hit、昨日:265 hit、合計:233,985 hit

. ページ24

中堂 side.





こいつが男から襲われたと聞いた時、
その男から逃げた時に負った痛々しい足のギブスと顔のガーゼを見た時。



怒りでどうかなりそうだった。









しかもこいつの中にトラウマまで残して。









それと同じくらい後悔の念。








俺があのとき家まで送っていれば。






こいつがこんなに辛い思い、
せずに済んだのに。









夕希子の事件の時と、
似たような感情に襲われる。





俺がそのクソ野郎を殺してやりたい。


そこまで思った。





でもあの時みたいに、


こいつを悲しませたくない。
二度と同じことを繰り返したくない。




そう思い、グッと堪え、

振り絞って出た言葉が、





“お前が無事で本当に良かった”



その気持ちに尽きると思った。









あんな酷い目にあっても尚、


なんでこんなに分からずやなんだこいつは。





はっきり言うと、

こいつの彼氏もクソ野郎で腸が煮え繰り返る。







なんで、こんなにいい奴を
粗末に出来るのか。








俺には信じ難い。




無論、理解したくもない。








Aが俺に相談してくれた。


今まで誰かに弱いところを見せるということを、
避けてきたAが、勇気を振り絞って、



俺に話してくれたのに。







腹立ち過ぎて、
心にもないことばかり言ってしまった。



たまらず所長室に閉じこもった。






気持ちを落ち着かせたかった。









俺だったら。







俺だったらAにそんな思い、
絶対にさせねぇ。









でも伝えたところで、
俺のエゴの押し付けだ。









俺がひとりで悶々と考えてたら、



所長室の外からAの声。







『私の話、聞いてくださってありがとうございました!』



と同時にオフィスを出る音がした。









気付いたら、
所長室を飛び出し、あいつのところへ
ただ足を全速力で動かした。









中「A!!!」




既にラボを出ようとしていたAは、
振り返り、居るはずのない俺を見て
びっくりしていた。





『え!?中堂さん!?どうしたんですか!!?』








中「…送っていく。」




『え!いいですよ!そんな迷惑掛けられな』



中「俺が送りたいと言っている」



それに、



中「またお前が危険な目に遭うのは…耐えられない。」



Aを真っ直ぐ見て言った。



『っ!』









『……そ、それじゃあ、お言葉に甘えて…よろしくお願い致します!』









.

.→←.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (91 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
432人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

夢充(プロフ) - Ericaさん» 初めましてー!コメントありがとうございます!わぁあ!嬉しいお言葉、痛み入ります…(>_<)これからも楽しんで頂けるよう精進します!また読んであげて下さい!! (2020年9月12日 1時) (レス) id: ea837440b3 (このIDを非表示/違反報告)
Erica(プロフ) - 初めまして。ニヤニヤしながら一気見しちゃいました。これからも楽しみにしています。 (2020年9月9日 18時) (レス) id: 5d04287811 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:夢充 | 作成日時:2020年8月19日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。