喫茶アリエス (ページ4)

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ﾐﾝｿｸ『あの、Aさん…。』

A『すみません、すぐ戻りますので。』

ﾐﾝｿｸさんに一礼して、ゆったりと時間の流れる喫茶とは不釣り合いに急いでお店を出た。

ﾐﾝｿｸさんの手が行き場を無くしているのが見えたけど今はイケメンよりも大事なことだ。

A『どうしたのかな？お名前聞いてもいい？』

『わ、私ね…ぐすっ…うわああああん』

おっ、この子は社交性ある子だね。

最初に大泣きしながらでも傍に来てくれる子はとてもありがたい。

この2年間で託児所を開いてもいいぐらい迷子と遭遇して御家族の元に返してきたその道のプロの私。

そんな私の事をよく知ってるｷﾞｮﾝｽが後ろのお店の窓からひょっこり顔を出して

ｷﾞｮﾝｽ『気にしないでいいから。その子よろしく。』

とだけ背中に伝えてくれた。デキる男だね。

ｷﾞｮﾝｽに背中と親指で「任せな」と伝えると、ひとまず抱きしめて頭を撫でてから事情を聞き、さっきまでお父さんと居たという大通りのコンビニの前で待った。

『スンヒね、今保育園でね、皆でね、そのね、あのね、』

いつの間にかすっかり仲良くなった私たち。

まだ言葉が上手く見つからないなりに一生懸命伝えようとしてくれるスンヒちゃんが可愛くてにやにやしながら話を聞いてしまう。

よし、誰が見てる訳でもないからいっか。

A『スンヒちゃん、スンヒちゃん、私、ペティ！お隣のケーキの国に行きますけど一緒にいかが？(裏声)』

スンヒちゃんのバッグに付いている2匹ついてるうさぎのマスコットをお借りして、即興でやってみると、スンヒちゃんは目をキラキラさせて続きをしてくれた。

―――10分後―――

スンヒ『王子様ーー！助けてーーー！』

ぜんっぜん親来ねぇ…。ちゃんとスンヒちゃん探してっか？こんな可愛い子ちゃんと探してんのか！？

いやそれよりま、まずい…こうなった時にまずいのは2つしかない人形の中で3人目の人格を作られた時だ…

頑張れ、ここは私の機転で全てが左右される…。

A『えっと…スンヒちゃ』

『スンヒ姫様、どうしたんですか？』