喫茶アリエス (ページ15)

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ｶｯｺｰｰｰｶｯｺｰｰ

なんだかんだ4時まで働いちゃって入口の看板を「CLOSE」にして仕事を終えた。

あの後、スンヒちゃんのお母さんの連絡先だけ頂いて、後日また会うことになった。

正直不安すぎるし上手くやれるなんて思ってないけど……やれるだけの事はやってみたいし……。

ジウォンに相談しよ。うん。

ｷﾞｮﾝｽは先に用事があってあがっちゃったから後片付けとお金の整理と材料チェックと……あと、雑誌も新しいのに取り替えなきゃ。

雑誌と材料買いに行ったらまた戻ってきてレシート貼り付けてたら……6時半ぐらいになるかなぁ…。

特にコーヒー系は洗い物がめんどくさいからかなり時間がかかる。

しょうがなしに腕をまくって洗い物を済ませてタオルで手を拭いていると、

窓から見慣れた全身真っ黒の影。

あれ、まさか……？

『み、ﾐﾝｿｸさん……？』

全身真っ黒のスポーツウェアに黒マスクのﾐﾝｿｸさんが立っていた。

ﾐﾝｿｸ『Aさん…。あの………、まだ、開いてますか？あ…でももう閉まってますか!』

初めは驚きで目を見開いてたﾐﾝｿｸさんの瞳が夕陽で寂しそうに照らされた。

「CLOSE」に目をやってからそれはもう焦って作り笑顔をしたﾐﾝｿｸさんを私は見逃せなかった。

「CLOSE」をひっくり返して

A『疲れた時にはいつでもいらっしゃってください。』

とだけ伝えて「OPEN」に変えた。

あーおじさんに怒られるなぁ…まぁしゃあないわ。

ﾐﾝｿｸさんはやっぱり気が利く男性だ。

綺麗に拭かれたコーヒーミルをみて

ﾐﾝｿｸ『すみません……もう片付けていましたよね。』

と申し訳なさそうに肩を落とした。

A『いえいえ！拭けばいいんですよ拭けば』

とかなんとかテキトー極まりない事言ってﾐﾝｿｸさんにミルク多めのカフェラテを出した。

夜ご飯用にクラブハウスサンドイッチを作りながら、ﾐﾝｿｸさんがお話するまで待ってよう。

と思ってたけどいつの間にか鼻歌交じりに野菜を切っていてハッと

A『わ！すみません……勝手にカラオケパーティー開いてました………』

するとﾐﾝｿｸさんは今まで見たことないような優しく、脱力した笑顔で私を見て

ﾐﾝｿｸ『はは。いえ、そのまま歌っていてください。すごく居心地がいいんです。』

と微笑みかけた。