せめて今日だけは消えないで【ARS】 (ページ3)

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智side

智「…んー」

目が覚めちゃったけど辺りはまだ真っ暗。どうやらまだ朝じゃないみたい。
時計を見ると時刻はまだ夜中の2時半。もっかいねるかー

智「…、寝れねぇ…」

一回起き上がったのが行けなかったのだろうか、目が冴えちゃって寝つけない。

俺は寝るのを一旦諦めて水でも飲んでくることにした。

智(ん？)

キッチンへ向かう途中ふとベランダの方を見ると人影が見えた。
最初はよく見えなかったけどそれは見慣れた猫背で、

智「にの…？」

小さく呟いた彼の名は誰にも届くことなくリビングに虚しく響いた。

秋も半ばだというのにニノは薄着で、じっと空を眺めているようだ。
その姿は月の光に照らされとても儚く見えた。

ぱさっ

俺は部屋から羽織ってきた上着をニノの肩にかけた。

和「あ、おおのさん、」

驚いた様子で振り返ったニノはこっちを見てフワッと笑った。

智「なにしてんの？」

和「ん？、今、俺…幸せだなぁと思って」

智「そっか…」

それ以上はなにも聞くことが出来なかった。
横を見るとニノがあまりにも優しい顔で夜空を見つめていたから。
その横顔があまりにも綺麗でなんだかニノが消えちゃうような気がして。

智「っにの「あっ、流れ星！」」

智「あ、ほんとだ」

思わず呼びかけちゃったけどそれはニノの一言で遮られた。

目を閉じて何か願い事をしている様子のニノ。しばらくするとゆっくり目を開けた。

智「何お願いしてたの？」

和「ん？ふふ、ひみつー」

智「なんだよー笑」

なんて言ってニノにちょっかい出したらやり返されて、こんな夜中にもかかわらず笑いあったんだ。