05/その愛は致死量を超えている ページ6
夢主.Side
*
小学生の頃、不慮の事故で両親をいっぺんに失くした。
残ったのは、子供二人には広すぎる家と、両親が貯蓄していたお金。
「……A、強く生きていこう、俺等二人で」
「お兄ちゃん……」
しゃくりあげる私を、細い腕で抱きしめてくれた自慢の兄。
寝る前には、お母さんみたいに綺麗な声で歌ってくれた子守唄が好き。
一緒に布団に入って眠る。
生前に溜められていたお金は、兄が全て、私が中学に進学するための費用に使ってくれた。
その代わりに、兄は高校を中退した
兄は朝早く家を出て、遅くに帰ってくる。
そんな日が何年も続いた。
*
明日に高校受験を控えた夜の事だった。
真っ暗な中、突然酸欠状態に陥り、目が覚めた。
きゅーと喉が鳴って、誰かが私の腹に乗っているのに気が付く。
「……く…っ…」
霞んでいく目。
あぁ、私もうすぐ死んでしまう。お母さんとお父さんの元に行くんだわ。
何故か途端に冷静に、悟ったように暴れるのを止めた私に驚いたのかその手が首から離れた。
「――――…ごめん、A…」
ブレていた視界が重なっていく。
冷たくて、固い指の腹が、私の頬を撫でた。
「……どうして」
息苦しくてたまらなかったけど、体の震えは止まらなかったけど、それでも
――――兄が私の首を絞めたなんて、考えたくなかった。
「俺は少し、おかしいかもしれない」
いつもの兄じゃない。跳ね除けるように兄から離れて、マンションを出た。
走って走った逃げた果て、目の前は暗かった
*
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月詠 - めっちゃいいです十四郎に抱きしめられたァァァァァァァァ有難うございます作者さんこれで明日も野球部のマネ頑張れます (2014年12月28日 2時) (レス) id: 42747b28bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はちか | 作成日時:2014年8月17日 1時