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……


「主の姿をしていたせいできみには疑念が付き纏っていたわけだが。今回のことでその疑いも晴れただろう? 俺はきみを、いや、きみ自身を見つけたんだから」
「あなたってひとは、随分薄情なんですね」
「そういう不具合(バグ)だと思えばいいさ。きみを見つけられた時は嬉しかった。俺が元々の姿であったなら桜の花びらが大量に舞っていただろうな」
「…………以前、約束があったと、私に言いませんでしたか?」
「ああ、そんなことを言った気がするな。約束、君は幼かったから忘れているだろう?」


__次に会う時は俺を知ろうとしてほしい、興味を持って接してほしい。夢のような日々を届けると君に約束する。


それを聞いて思い出したのは、墓での男との邂逅であった。
そんなこと言われたな、くらいの記憶だった。……彼はずっとその約束を守っていたのか。律儀に。



「A、俺はきみを好きだ。いや、こんな言い方は気障(キザ)っぽいな。……きみを想う気持ちは確かに愛であったと伝えよう。たとえきみが今更それを理解できなくてもいい。時間をかけてゆっくりとわかっていけばいいんだ」


あまりにもその告白は甘く、溶けてしまいそうな糖度であった。顔のいい男だと心の中では皮肉りつつも、その言葉通り、私に向けられていたのは確かに愛であったと認めるしかなかった。


__Fin.

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作者名:木浪 | 作成日時:2020年4月21日 15時

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