描いた世界 (ページ10)

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番外編:写真家とお茶会ページ10

Aside
今日も普通に起きて、身支度を終えた
ふと思い出した。そういえば、ジョゼフとお茶会の約束をしていて、それが今日だった事を忘れていた
近くのテラスだったか、小走りでダッシュし
どうにかギリギリ間に合ったようだ

写「待っていたよ。A」
A「お待たせ。ジョゼフ！」
私は椅子に腰掛けてレースのかかった机をちらりと見て、目の前のジョゼフを見つめる

写「もう少しで遅刻になる所だったね」
ジョゼフはそうなったら罰ゲームも用意してたんだけどねと小声でクスッと笑っていたので
ギリギリ間に合ったから許してと言った

写「まあ、取り敢えず。僕が用意しておいたから温かい内に飲んで欲しいな」

A「じゃあ、有難く頂きます」
カップとソーサーを片手に1つずつ持ちながら、いい香りのする紅茶を1口飲んだ
飲んだ後、ふんわり香ってくる茶葉の香りと甘みが喉の奥に落ちていく

A「美味しい」

普段は紅茶なんて飲まない。こんなに洒落た飲み物なんて久々な気がする

率直な感想を言うとジョゼフは、嬉しそうに話していた

写「お口に合って良かったよ。それは僕のお気に入りの1つでね」
カップのスプーンも、装飾がとても綺麗でジョゼフのこだわりなんだろうなと思いながら
二口目を飲む

写「Aは、今気になっている人とかいるのかい？」

急に来た質問に驚いて

今、気になっている人の顔が頭の中に浮かんでしまい、顔が少し赤くなってしまった

A「いやぁ、なんというか」
絞ってはいる。絞ってはいるのだが

未だに怖くて、本人に告白する勇気がない

そんな様子を見ていたジョゼフは、急に立ち上がって私の目の前に立ち、頭を撫で始めた
A「··え？」
写「変に緊張しなくていいんだよ。自然な君のままそれが1番」

頭を撫でていた片手は肩に移動し、私の両肩をトントンと優しく叩いた
気づかない内に肩に力が入っていたのか、少し肩が下がった

写「それでいいんじゃないのかな。僕も自然な君が好きだよ」

A「自然な、私」

うん！と返事をしたジョゼフはゴソゴソと何かを取り出しカシャッと私にカメラ向けて写真を撮っていた

A「あっ今、撮った」

写「ふふ、可愛いらしい写真だ」
A「もう、今の消してよ！」
ジョゼフのお陰で私は勇気を貰い、笑顔になっていた