レア中のレア ページ10
◇
物思いにふけると、工藤邸まではすぐだった。
インターホンを鳴らす。
それだけで緊張している自分に少し笑う。
｢恋多き女学生かしら？｣
と笑っていると玄関の扉が勢いよく開く。
沖矢昴のキャラ忘れてるわよ、とは言わないでおく。これはこれでレアだ。
｢ユ、ユエか？｣
｢私以外に誰に見えるっていうの？あと動揺しすぎよ。口調が外れてますよ昴さん？｣
言わないとか言ったけど撤回だ。こんなに動揺してる時に誰か来たら大変。絶対バレる。
｢そ、うですね。とりあえず中へ｣
｢ふふっ、お邪魔します｣
お隣さんを気にしてか手早く私を家に招く。まぁ怪しまれるなんて今更な気がするけど。
リビングに行くと微かにタバコの匂いがする。沖矢昴の設定上タバコは似合わないんしゃないかしら？とつらつら考えていると背後からの衝撃
｢赤井、｣
｢すまない。傷つけてしまった。本当に、｣
拗ねた子犬のように、頭をぐりぐりと押し付けながら謝る赤井…あれ、待って傍から見たらすごい恐怖。でも、沖矢昴の姿だからギリギリセーフ？
｢ねぇ赤井、私怒ってないわ。私こそ子供のような癇癪を…貴方を傷つけちゃったわ。｣
顔を見せて、と赤井を軽く叩く。
｢ふふっ、変装も形無しね｣
向き直った赤井の顔は昴越しにもわかるほど落ち込んでいる。
｢ユエ。許してくれるのか｣
｢だから怒ってないって言ったでしょ？｣
そう言っても聞き分けの悪い赤井に無理やり変装をとかせる。
彼本来の姿になってからもう一度、怒ってないと伝える。
｢ほらほら、いつものいけ好かない笑みはどうしたの？｣
｢いけ好かないと思ってたのか、｣
｢落ち込むのはもう終わりよ。Goodboy?｣
最後に慰めるように頬にキスをする。
さぁ早く元気になって？
◇
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ろーず - 続編おめでとうございます。これからも楽しみにしています。 (2018年6月12日 23時) (
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作者名：朱狐 | 作成日時：2018年6月12日 2時
