past 初めて泣いた日 ページ9
＿
赤井と住んで少しした頃、それは起こった。
例の宗教団体が捕まったあと、面白半分に被害者を追う人間がいるとジェイムズから伝えられ常以上に私の警護が厳しくなった。
だが、そこで運も悪く？赤井は別任務でアメリカを離れていた。任務といっても数日で戻るものだったから皆油断した、というべきか。
その、ほんの数日の間に奇襲をかけられ私は怪我を負った。
ジョディもジェイムズも、任務についていたはずの赤井まで駆けつけて怪我自体は大したものではなかった。だけど…
｢誰も入らないで。誰にも会いたくないの｣
｢ユエ…｣
｢嫌。触らないで！｣
私はまた酷く人を嫌った。
奇襲を仕掛けた人間は直接的な暴力より言葉の暴力の方が多かった。
やれ｢化け物｣だとか｢高く売れる｣だとか、聞きたくもない耳障りな言葉ばかりを吐く最低な集団だった。けど、それは事実だからこそ心を抉った。
｢…知ってるでしょう。最初から化け物なんだから｣
何も変わってなんかいないでしょう。
私は最初から化け物で疎まれて、きっと皆本当は＿
｢…泣かないでくれ｣
赤井、と言葉にならなかった。何故いるとか、何時からとか、聞きたいのに。
｢…優しくしなくてもいい。｣
｢それは俺が決めることだ｣
｢FBIは私を不審に思ってるだろう。｣
｢ーーーFBIと俺の意思は違う｣
頭を撫でるだけだった手は、肩を抱き寄せて包み込む。ギュッと痛いぐらい抱き込まれた中で赤井の心臓の音に耳を澄ます。
｢私はもう失いたくない。私のせいで死を選んでしまうなら、｣
｢…その先は言わなくていい。俺は死なない。お前の為に死んだりしない｣
｢…とてもいい口説き文句ね｣
私が死ぬまで、
もう誰も死んでほしくない。
私の死は目前まで来てるから、
だからどうかその先まで誰も居なくならないで
◇
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ろーず - 続編おめでとうございます。これからも楽しみにしています。 (2018年6月12日 23時) (
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作者名：朱狐 | 作成日時：2018年6月12日 2時
