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信じたくない ページ14

降谷side




「...降谷さん。私を優しい人間だと思いますか?」



ユエさんの。無事を確認しようと足早に会いに行けば、一言目がソレだった。



「私が死んだら悲しい?泣いてくれる?」


「当たり前だ。君はもうただの知り合いなんかじゃないんだから、」



いつもの様に、バーボンや安室の話し方では今の彼女には届かない。

今の彼女の瞳には“色がない”





「悲しいことでもあったか?」


「いいえ」



「誰かに何か言われたとか...」


「何もありません」



表情一つ変わらない彼女に焦りが募る。

淡々と口調も何も変わらないユエさん。
悲しいことがあった訳でも、誰かに何かを言われた訳でもない。だけど彼女には何かがあった。


重苦しい沈黙が続き少しした頃、何を思ったかユエさんはゆっくりと俺に近づく。

そして、口を開いた。



「...ただ少し、優しい人間のふりに疲れただけです」


「人間の、ふり?」


「ええ、ふりです。」


理解できず言葉にして繰り返す。
俺の呟きに相槌を返す彼女の瞳は先程より色が戻っていた。



「なんというか、私の周りの人達は何時も私をいい人にしたがるんです。それを私が持つ魔力というか呪力というかは知りませんが、皆一様にそうなので。」


「君が事実、いい人だからではないのか」


「ふふっ、本当にいい人ならそもそも赤井にもシャロンにも会っていませんよ」


赤井とベルモットに会わない...?どういうことだ?



「どういうことだって、顔してますね。まぁ複雑なんですが、多分。私が本当にいい人なら私はまだイギリスにいたと思います」


何故、と聞く前に彼女は答えた。



「私はイギリスでは大罪人ということらしいので、私は逃げてきたんですよ。海を渡ってアメリカ、そして日本へ。」


「大罪人...?ユエが?」



嫌だ、信じたくない。

君が本当に犯罪者なら俺は君といられない。




「ええ、ところで降谷さん。

貴方は人を殺したことがありますか?」






____私はありますよ。一度ならず何度も...ね






「っ...!」



喉が張り付いて呼吸がままらなくなるぐらい、俺は彼女のあまりの言葉に耳も目も全てを塞ぎたかった。





閑話休題→←優しい人間のふり



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ろーず - 続編おめでとうございます。これからも楽しみにしています。 (2018年6月12日 23時) (レス) id: 67f7e97b5c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朱狐 | 作成日時:2018年6月12日 2時

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