いただきます ページ38
◇
これがあなた達の日常なのね＿
｢暖かいわ((ﾎﾞｿｯ｣
｢ユエさん？どうかした？｣
｢いいえ、何でもないわ｣
ちいさな呟きさえも拾ってしまうのね。
気をつけないと。
｢他に何か聞きたいことあります？｣
と、聞きながら私はやっとアイスコーヒーに手を伸ばす。うん。前と同じく美味しい。
蘭さんは聞きたいことがあるのかないのか悩んでいるようなので、ナポリタンへ手を伸ばしてみる
｢いただきます｣
人工物のように赤いコレはトマトだったのか
言うなればチープグルメというものだろうか？普段口にするものとはまったく違う味だけど新鮮で美味しい
｢…ん？｣
ナポリタンを堪能していると視線を感じ、頭を捻る
｢何か可笑しかった？｣
食べ方でも違っただろうか？
それとも何かついてる？
｢あ、いえ、とても綺麗な食べ方だったのでつい…｣
｢それにユエさん“いただきます”っていうんだなってちょっと驚いて、｣
｢？そうかしら？｣
綺麗な食べ方？というのはよくわからないけど
｢“いただきます”っていうのはこの国の大事な挨拶のひとつでしょう？それを言わないのは失礼だわ｣
たとえ私が外国からきてようと、郷に入っては郷に従えっていうでしょ
ちゃんと答えたのに尚更ポカンとした顔で見つめられ些か対応に困る。
｢安室さん、どうにかしてください｣
ずっと黙っている安室さんに助けを求めるが、
｢あ、いやちょっと待ってください｣
｢え？｣
何やら照れまくっている安室さんが
私そんなに変なこと言いました…？
◇
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作者名：朱狐 | 作成日時：2018年4月27日 14時
