苦渋の ページ30
安室side
___本当の貴方に会いたい
「ハッ 違うだろ。今はバーボンだ。集中しろ」
口に出して叱責してみたところで、頭は彼女の言葉でいっぱいだった。
あの言葉だってこちらの動揺を誘うための彼女の罠かもしれないのに…
だかどうしてか、そうは思いたくない自分がいる
「……いや、今はそれよりシェリーだ」
どうにか頭を切り替えるため、ベルモットへ連絡を入れる
〈ベルモット。シェリーは?〉
〈慌てないで、そろそろ合図が来るわ〉
合図…?と、首を傾げると車内放送が流れる
『お客様に連絡致します。8号車で火災が発生致しましたので速やかに避難してください。繰り返しますーーー』
「(なるほど。これが合図か…)」
避難する人の波を反対方向に抜けるように歩くと鼻につく煙が増えていく
と、遠目でも目立つ赤茶色の髪の女性がひとり
「初めまして__バーボン…これが僕のコードネームです」
「…っ!」
振り返った女性の顔はひどく懐かしかった
「さすがヘル・エンジェルの娘さんだ…よく似てらっしゃる…」
なんて苦しいんだろう…
どうか、バーボンにシェリーを殺させないでくれ
◇
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作者名:朱狐 | 作成日時:2018年4月27日 14時