焦る声と困る声 ページ29
◇
「どうして貴方がその名前を…」
激しい動揺を見せた彼は絞り出すようにそう応えた。
ああ、本当に貴方がバーボンなのね
シャロンを脅している探り屋_
そしてたぶん今はシェリーを殺しに来た。
「(がっかりしてる場合じゃないのに…)」
どうしようかと頭を巡らせていると、インカムが鳴る
ジジッ
〈シェリーにベルモットからメールが来たようだ。そろそろ動くだろうからユエも一応備えておけ〉
ベルモットからシェリーへ…ということは彼にも指示が来ているはず
〈ユエ、どうした。応答しろ〉
私の返答がなく少し焦ったような赤井の声が聞こえたが、構わずインカムのスイッチを切る。
後で怒られそうだが、今は彼に集中したい
だから、たぶんまだ側にいるだろう彼に声をかける
「安室さん。」
「……なんですか」
よかった、まだ居た。
赤井と違って焦った、というより困った声だ。
だが、何を話せばいいだろうか?
シャロンのことか、
それとも彼の正体についての話か…
「…違う」
今はどれも違う気がする
わたしが今言うべきことは彼をつなぎとめること。
安室透でもなく、バーボンでもない貴方をーーー
「次にお会いする時は本当の貴方に会いたいです。」
◇
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作者名:朱狐 | 作成日時:2018年4月27日 14時