しろくてあかいひと (ページ20)

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赤い薔薇ページ20

◇

ｺﾝｺﾝｯ

突然響いたノックの音で自分が寝てしまったことに気づく。
眠気が思い出に飲まれたか…。

というか、お客が来る予定はないはずだけど？

｢失礼します、マリアーヌ様！お届けものです！｣

｢届け物…？｣

ドアを開ければ手一杯の花束を持ったベルボーイ。一応部屋に花瓶もあるので部屋に入れて整えてもらう。

｢それで？どなたから？｣

｢お名前は伺ったのですがすぐ帰られてしまって……ですが、とても綺麗なご婦人でしたよ｣

ご婦人…？そんな知り合い日本にいたかしら？

｢そう。ありがとう。｣

｢それでは失礼いたしました｣

仕事を終え部屋から出たベルボーイの気配が完全になくなってから花瓶の花に目を向ける

｢それにしても皮肉かしら？私に真っ赤な薔薇なんて｣

一番憎くて、愛しい赤色＿

一本だけ、たまらず握りつぶす。
ばらばらと、崩れる花びらを見て落ち着くなんて自分でもどうかしてると思う。

｢あら？ちゃんとメッセージあるじゃない｣

〈貴方の心を掻き乱す赤色なのは知ってるわ。だけど一番似合うのも知っているでしょう？
明日、〇〇というバーで待ってるわ。シャロン〉

｢シャロン…｣

相変わらず、ね。
彼女らしい意地悪だ。

｢貴方じゃなきゃ怒るわよ、こんなこと｣

◇