しろくてあかいひと (ページ19)

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past 強い気配ページ19

◇

軟禁生活2週間を過ぎた頃、周りがなんだか騒がしくなってきた。
騒がしいといっても、もうほとんど見えていないし聞こえていないのだけど…

やっと、警察が尻尾を掴んだってところかしら？

いやはや遅いことだ。

｢(もうこっちは息を吸うのも重たいっていうのに…)｣

瞼も重くのしかかるようでもう何もかも放棄したくなる。

すると一気に慌ただしい音が聞こえ、棺桶の蓋が閉じられる。というか、蓋なんてあったの。

暗くなる世界に煩わしい音、人の出入りも多いのか気配も不確かだった。

｢(強い気配がひとつ…)｣

とりわけ強い気配についに警察の突入かと、内心わくわくしながら棺桶の中で待つ。

なるほど、私を隠したくて蓋を閉じたのね。

ｷﾞｨｰ

｢…ｯ生きているのか？｣

少し眩しさを感じる。蓋があいたみたいだ。

｢……本当に人、なのか？｣

酷い人。私が人形に見える？

仕方なく重たい瞼をこじ開け、目の前にいるだろう人に目を向ける

｢(ああ、残念。やっぱり見えないわ…)｣

瞼を開けたところで目に映る世界は朧気で、周りを認識できない

｢……ｯ｣

音にすらならない私の声はなんて役たたずなのかしら

薬の影響か、長く保てない意識にやっと開いた瞼はどんどん落ちていく。

｢(もったいない。あなたの瞳、とても綺麗なのに……)｣

ぼんやりとした世界に見えた
新緑のような輝きを胸に私は意識を手放した

◇