糸操人形のワルツ【CS】 (ページ7)

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過去ページ7

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▷過去

幼いころから孤独を抱えていた。人と関わることが苦手で、独りでいることに慣れてしまった。他人から嫌われることや拒絶されることが怖くて、幼い頃からずっと本音を心のうちに秘めるようになっていた。
周囲からは「暗い」「何を考えているのかわからない」と噂され、いじめなどはなかったが疎外感があった。
そんな伊織の唯一の友達として存在していたのが人形だった。幼いころからずっと共に過ごしてきた人形たちが、「友達」として彼の心の拠り所となっていたのだ。

人形たちとの出会いは彼が小学校に上がった頃のこと。
その日は年の離れた姉にテーマパークに連れて行ってもらった日に伊織は迷子になってしまった。繊細な伊織にとって見知らぬ土地でひとりきりになることは恐怖以外の何物でもなく、今にも泣き出しそうになるのを必死でこらえながら、姉を捜していた。

そして出会ったのがひとりの人形遣いの青年。彼は不安そうな伊織に声をかけてくれた。

その青年は伊織に「僕の人形劇を観ないか？」と声をかけ、伊織が返事をする前に人形劇を始めた。

青年が操る人形たちは不思議な魅力に溢れ、伊織はその世界に引き込まれていった。

人形劇が終わり、興奮気味に伊織が青年に感想を伝えると、彼は少し驚いたような顔をしてから笑った。

「君のような小さな子が僕の人形劇を観て楽しんでくれたのは初めてだ」

と。

青年は続けて言った

「君はこの子たちを気味が悪いと怖がったりしないんだね」

『...どうして？このお人形サンたちはとってもかわいくて、かっこいいよ...？』

その青年、「和泉」との出会いが伊織にとっての転機だった。

以降、伊織は和泉に懐き彼の元に何度も遊びにいくようになった。人形の操り方を教えてもらい、一緒に人形劇の練習をすることもあった。自身の悩みを相談することも多々あった。